おやぢの部屋2
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TSCHAIKOWSKY/Symphonie Nr.3
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Dmitrij Kitajenko/
Gürzenich-Orchester Köln
OEHMS/OC 970(hybrid SACD)




チャイコフスキーの番号が付いた6つの交響曲の中では、前半の3曲は後半の3曲に比べて圧倒的に演奏頻度が少なくなっています。そんなマイナーな3曲の中でも、「3番」というのはひときわマイナー感が強いのではないでしょうか。そもそも、楽章が5つあるという点が問題。なんたって、4楽章形式の交響曲というものは、ずっと昔から慣れ親しんでいたこともあって、かなりバランスのとれたフォルムを持っています。第1楽章でまず心を掴まれ、第2楽章でいったん冷静さを取り戻すものの、第3楽章でまた掻き乱されてしまい、ついにはフィナーレで否応なしにホテルへ直行、みたいなパターンですね。
ところが、この「3番」の場合は、第2楽章としてなんだか余計なものが本来の第1楽章と第2楽章の間に挟まっているという気がしてならないのです。「ドイツ風に」というタイトルが付けられた3拍子の曲なのですが、そのテーマがなんとも陳腐なメロディなんですよね。チャイコフスキーという人は、信じられないぐらい美しいメロディを作ることもありますが、たまにこんなどうしようもなくつまらないメロディも作ってしまうんですね。「ミレシソ↑ド」(in C)という音型、たまらなくダサいとは思いませんか?
そんな「3番」ですが、前にキタエンコで「2番」を聴いたときにはちょっとびっくりするぐらい引き込まれる演奏だったので、もしかしたらそんな「つまらなさ」を払拭してくれるのではないか、という期待で、このSACDを聴いてみることにしました。
しかし、残念ながら、それは、この曲の印象を変えてくれるほどのものではありませんでした。あの「2番」の時のすがすがしさはいったいどこへ行ってしまったのか、と思えるほどの鈍重な演奏には、ちょっと困惑してしまいます。第4楽章のスケルツォでは、木管楽器の名人芸によるフレーズの重なり合いで、目の覚めるようなキラキラした風景を見せて欲しいのに、このもたつきはいったい何なのでしょう。それぞれの奏者がなんてことのない音符で変に引っかかっているために、流れが全く感じられなくなっています。
そんな印象を与えられたのは、もしかしたら録音のせいだったのかもしれません。なにか、高音の伸びが今一つ不足していて、開放感がまるで感じられない音なのですね。ただ、カップリングの「眠りの森の美女」組曲では、そんな窮屈な音ではなく、いかにもSACDならではの伸びやかな音が聴こえるのは、やはり録音時期の違いによるものなのでしょうか。「2番」のSACDの時と同様、今回も2010年と2011年という2つの時期が記載されているのですが、どちらの曲がどの時期に録音されたのかは明らかにされていません。ですから、2011年の少し前に機材の変更か何かがあったとすれば、交響曲は2010年、バレエは2011年の録音なのではないか、と思うのですがね。
ただ、音は見違えるように良くなっているのに、今度は演奏がずいぶん硬直したものになっていました。最後の「ワルツ」などは、優雅さのかけらもないどんくさい仕上がりなのには、がっかりでした。
余談ですが、この「ワルツ」の序奏の部分は、NHK-BSの深夜クラシック番組「プレミアム・シアター」のオープニングテーマになっています。しかし、おそらく30秒というテーマ音楽の制約からなのでしょう、ここではその21小節目から24小節目までの4小節がカットされています。確かに、この部分はその前の4小節と全く同じものですから、分からないだろうと担当者は思ったのでしょうが、そんなことはありません。この序奏は、4小節のモチーフを繰り返して8小節になった部分が4つ+エンディングの4小節という36小節で出来ています。その8小節の部分を1ヵ所4小節に縮めてしまったのですから、バランス的におかしいことは仮にこの曲を聴いたことが無い人でも気づくはずなのですからね。いくら鬘を付けても、ばれる時はばれるのです(それは「女装」)。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-07-30 22:53 | オーケストラ | Comments(0)