おやぢの部屋2
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Minimalist Dream House
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Katia & Marielle Labèque(Pf)
David Chalmin(Voc. etc)
Raphaël Séguinier(Dr. etc)
Nicola Tescari(Kbd. etc)
KML/KML 2117




先日、指揮者のセミヨン・ビシュコフがNHK交響楽団の定期演奏会に客演した時の模様が、テレビで放送されていました。メインはベルリオーズの「幻想」だったのですが、その前に演奏されたのが、日本初演となる2台ピアノとオーケストラのための「バトルフィールド」という作品でした。そこでソリストとして登場したのがラベック姉妹だったのですね。つまり、妹の方のマリエル・ラベックは、ビシュコフの奥さんですから、オットセイみたいな顔のに、ワンセットで付いてきたのでしょうか。
それはともかく、久しぶりに見た姉妹の映像は、なかなか興味深いものでした。前からのイメージでは姉カティア=派手、妹マリエル=地味、という印象だったのですが、今回は、確かに演奏のときのアクションはカティアの方が相変わらず目立ってたものの、それ以外の立ち居振る舞いなどは、マリエルの方が積極的みたいだったのが意外でした。もっと意外だったのがその顔立ち。カティアは昔から年齢不詳の小悪魔みたいな容姿だったので、今回もその流れが維持されていたのに対し、マリエルの方はなんだかすっかり「おばさん」になっていて、それをメークで隠そうとしているのが痛々しいほどでした。
いや、ビシュコフがそうであるように、クラシックの場合は「顔」ではありません、音楽です。最近の姉妹は自身のレーベルを立ち上げて精力的に活動していますが、最新のアルバムはなんと3枚組、なんでも、「50年にわたるミニマリズムの祭典のハイライト」がこの3枚のCDに収められている、というのが、ライナーノーツに書かれていたフレーズです。そうか、ミニマル・ミュージックが生まれてもう半世紀が経ってしまったんですね。
とは言っても、彼女たちがミニマル・ミュージックに対して、これまで熱心にかかわってきたという感触はあまりありません。今回のアルバムでも、ミニマル史上最大のスターであるスティーブ・ライヒの作品が取り上げられていないことからも、彼女たちにとっての「ハイライト」が、音楽史的な意味での「ハイライト」ではないことは明らかです。
彼女たちのスタンスは、おそらく2枚目のCDに顕著に表れているのではないでしょうか。ここで演奏されている作曲家には、例えばジョン・ケージやアルヴォ・ペルトといった、「ミニマリスト」というにはちょっとためらいがある人に混ざって、「クラシックの作曲家」以外の名前が数多く見られます。それは、立場によってさまざまな言い方が出来るはずですが、ざっくりとひとくくりにすれば「ロック」のアーティストたちです。ここで取り上げられているブライアン・イーノやレイディオ・ヘッドに限らず、多くのアーティストは「ミニマル」からは多大な影響を受けています(「テクノ」あたりは、「ミニマル」そのものです)。そこまで含めての「ミニマル」が、彼女たちの「ハイライト」には欠かすことが出来なかったのでしょう。ここでは、彼女たちのピアノだけではなく、さらに3人の友人たちのサポートで「バンド」を組んで、ギンギンに迫ります。そのメンバーたちのオリジナルも取り上げられていますが、パーカッションのラファエル・セギニエの作品などはもろ「明るいライヒ」といった感じ、おそらく、彼女たちにとってはあまりのストイシズムゆえに「ハイライト」たりえなかった「本家」の代わりとしての選択だったのかもしれません。
そう、このアルバムの中での「ミニマル」は、なんと明るいことでしょう。3枚目のCDに入っているテリー・ライリーの「in C」という「古典」が、これほど楽しく聴けたのは、初めての体験です。例えば、ライリー自身の録音などで聴ける「苦行」ぶりとは、目指すところが正反対、これはぜひ、こちらからダウンロードできる楽譜を見ながら、その「楽しさ」を味わってほしいものです。

CD Artwork © KML Recordings
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by jurassic_oyaji | 2013-08-01 20:44 | 現代音楽 | Comments(0)