おやぢの部屋2
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DVORÁK, SCHUBERT, FRANCK/Flute Works




János Bálint(Fl)
Zoltán Kocsis(Pf)
HUNGAROTON/HCD 32280



ドヴォルジャークのソナチネ、シューベルトの「しぼめる花による序奏と変奏」そしてフランクのソナタという、フルート界では馴染みのあるプログラムのアルバムです。もっとも、ドヴォルジャークとフランクはもともとはヴァイオリンのための曲をフルート用にアレンジしたものです。演奏しているフルーティストは、ヤーノシュ・バリントという、歌も歌えそうな(それは「バリトン」)名前の方、1961年生まれの中堅で、ハンガリー国立フィルの首席奏者を務めています。楽器は、日本の「パール」を使っているそうです。そしてピアノが、そのハンガリー国立フィルの音楽監督、つまり指揮者としての活躍も最近ではめざましいゾルタン・コチシュです。
ドヴォルジャークのソナチネでは、まず、誰が編曲をした楽譜なのか、というのが問題になります。かつてはランパルによるものが主流でしたが、これはちょっと地味、というか、ヴァイオリンパートをそのままフルートに置き換えただけのものなので、最近ではゴールウェイによるもっとフルートが目立つ編曲の方が人気があるようになっています。ここでバリントが選んだのが、アラン・マリオン版、初めて聴くものですが、基本的にはランパル版と殆ど変わらないもののようです。その編曲の選択からも分かるように、バリントの演奏はとても堅実というか、はっきり言ってかなり地味、終始コチシュのピアノが主導権を握っているという印象はぬぐえません。
シューベルトになると、その印象はさらに強まります。もちろんこれはオリジナルのフルートとピアノのデュオですから、フルートパートもかなり技巧的、どう吹いてもフルートが「勝てる」場面はいくらでもあるのですが、それがことごとくピアノに「負けて」しまっています。そもそも最初のテーマの歌い方からして、ピアノの序奏でコチシュが放つ細やかなニュアンスが、全くフルートに受け継がれないという具合で、表現における力の差が歴然としているものですから。まあ、それはそれで「フルートのオブリガートが付いたピアノソロ」といった趣を楽しむのも、一興かもしれません。
フランクの場合は、ライナーの表記に誤りがあります。「ロベール・カサドシュによる編曲」とあるのは間違いで(確かにピアノパートの校訂は行っていますが)、フルートパートの編曲をしたのはランパルです。ただ、ここでバリントは、第4楽章のカノンのテーマを、最初は1オクターブ下げて演奏しています。途中から唐突にオクターブ上げるのも異様なのですが、ただでさえ目立たないフルートをこんなに埋没させてしまうなんて、この人はどこまで卑屈なのでしょう。
主役はフルートであるはずのアルバムですが、聴き終わってみると、久しぶりに味わったコチシュのピアノばかりが印象に残ってしまいました。フルートの伴奏に徹しているところもありますが、いざソロがまわってきた時の生き生きとした弾けようには圧倒されます。言ってみれば、格の違う演奏家と組んでしまったフルーティストの悲劇、でしょうか。
録音場所が、ブダペストの「フェニックス・スタジオ」、どこかで聞いたことのある名前だと思ったら、瀬尾和紀さんがNAXOSホフマンの協奏曲を録音したところでした。別になんの関係もありませんが。
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by jurassic_oyaji | 2005-06-15 19:33 | フルート | Comments(0)