おやぢの部屋2
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愛しきわが出雲
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愛しきわが出雲市民合唱団
岩谷ホタル
出雲市/
IZCD-17322



今年は島根県の出雲大社では、60年に一度という大行事「平成の大遷宮」が行われました。そのための予算は80億円だとか、いずもこんな出費があったら大変ですね。その機会に、出雲市出身のアーティスト、竹内まりやが、出雲市からの依頼を受けてこういうタイトルの歌を作りました。作詞、作曲はもちろん竹内まりや、リズムアレンジは山下達郎、ストリングスアレンジは服部隆之という、豪華スタッフです。
ただし、まりや自身はあくまで作家、プロデューサーという立場なのだそうで、ボーカルとしては登場していません。実際に歌っているのは岩谷ホタルさんというやはり出雲出身の若いシンガーです(これはピアノ伴奏)。それと、この出雲市レーベルのCDでのメインは、さっきのスタッフが作ったオケに乗って歌われる「合唱バージョン」なのです。なんでも、この曲のために出雲市内の中高生と一般の合唱団の中から選ばれた100人のメンバーが歌っているのだそうです。
曲は、まりやお得意のスローな6/8による、カントリー・テイスト満載のものでした。コード進行も、彼女ならではのドッペル・ドミナントを多用したとてもシンプルな親しみやすさ、サビの「♪空高き 出雲」あたりからのクリシェなどは、頭を聴いただけで3小節先のコードまで想像できるほどの(実際そうでした)耳に馴染む心地よさがあります。
ただ、これこそがまりやの曲の身上である、まさにポップ・チューンとしての明るさ、楽しさが一杯の曲に対して、歌詞のなんとも硬直した古めかしさは、なんなのでしょう。「育まれし愛は」などという文語調で名所旧跡をちりばめた陳腐な歌詞は、この音楽とはほとんどシュールなまでの違和感を抱かせるものです。まあ、なんせ大国主命が祭られ、時には全国の神々が集うというまさに「神話の里」の歌なのですから、これはこれで仕方がなかった帰結だったのかもしれません。
しかし、長年彼女のファンを続けてきたものとしては、何か納得できない思いが残ります。彼女を追っかけたいと思ったのは、その、とびきり都会的で弾けるような音楽の魅力を味わいたかったからでした。しばらくのブランクの後、レーベルも変わってカムバックした彼女は、デビューしたてのアイドル時代と全く変わらないポップさでそんな期待に応えてくれていました。しかし、そんな周りの期待とは裏腹に、彼女自身はアーティストとしての「成長」を目指していたに違いありません。気が付いてみたら、いつの間にか彼女の作品、とくに歌詞の世界は、そんな、まさに「老成」を思わせるような「深い」ものに変わっていたのです。ところが、彼女の音楽には、それについていけるだけの「深み」はありません。音楽に関しては決して冒険はせず、一貫してシンプルでありふれた路線をとり続けています(もちろん、それなりの「小技」は効いています)。いや、もしかしたら、それが彼女の「作曲」のスキルの限界なのかもしれません。逆に言えば、いくつになってもまるでティーンエイジャーのような曲を作り続けることが出来る事こそが、彼女の最大の魅力なのですよ。
しかし、彼女は、そんな10代の音楽に、実年齢の歌詞を付けるようになってしまいました。現時点では最新のアルバム、2007年の「デニム」に収録された「人生の扉」あたりが、そんなアンバランスな作品の筆頭です。
そして、今回の「出雲」で、彼女はそれ以上にアンバランスなものを作ってしまいました。もし、この合唱バージョンで、きちんとハーモナイズされた「合唱」を聴くことが出来ていれば、それほどの悪印象は持たなかったのかもしれませんが、暗めのピッチで終始ユニゾン(しかも、混声なのでオクターブ・ユニゾン)で歌われては、もう救いようがありません。カラオケで、達郎が「♪出雲~っ」とコーラスを入れているのは、なんかのジョークですか?。

CD Artwork © Izumo City
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by jurassic_oyaji | 2013-08-15 20:36 | ポップス | Comments(0)