おやぢの部屋2
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VERDI/Requiem
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Anja Harteros(Sop), Elïna Garanca(MS)
Janos Kaufmann(Ten), René Pape(Bas)
Daniel Barenboim/
Orchestra e coro del Teatro alla Scalla
DECCA/478 5245




ミラノのスカラ座と言えば、イタリア・オペラのメッカとしてその名を知られたオペラハウスです。最近では、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)の向こうを張ってライブ・ビューイングなどにも積極的に取り組むなど、新しいオペラハウスの姿を模索しているようです。一時、リッカルド・ムーティの後の音楽監督が不在の時期がありましたが、2007年から客演指揮者を務めていたダニエル・バレンボイムが、2012年からは、晴れて音楽監督に就任、バレンボイムは、それまでのベルリン州立歌劇場の音楽監督との兼務となりました。
そんな、「バレンボイム時代」の幕開けを飾ったのが、ヴェルディ生誕200年となる2012-2013年シーズンの幕開けを飾るために、2012年8月に行われたヴェルディの「レクイエム」のコンサートです。それは、スカラ座のオーケストラと合唱団、さらにソリストとしてハルテロス、ガランチャ、カウフマン、パーペという、これ以上望むべくもないスター歌手を一堂に集めた超豪華なコンサートでした。
ジャケットの写真を見ると、100人程度の合唱団がステージ上の雛段に立ち、オーケストラはピットの床をステージの高さまで上げたところで演奏しています。ソリストたちは指揮者の左右で歌っています。楽器の配置はオケ・ピットの中そのものの、対向配置、ちょっと面白いのが、金管の最低音域を担当する楽器がバスチューバであることです。普通、イタリアのオペラ座のピットには、ヴェルディやプッチーニの場合、ここにはバストロンボーン、いわゆる「チンバッソ」が使われていたのではないでしょうか。つい最近、日本のNHK交響楽団が同じ曲を演奏している映像を見ましたが、そこでは何のためらいもなく「チンバッソ」が使われていましたからね。
しかし、ものの本によれば、この曲で指定された楽器は「オフィクレイド」なのですから、本当はチンバッソなどを使う必要はないのですね。警察は必要かもしれませんが(それは「オフィスレイプ」)。実は、1967年に収録された、有名なカラヤンの指揮による同じスカラ座の映像でも、やはりチンバッソは使われていませんから、これが本場スカラ座の伝統なのでしょうか。
つい最近、この曲の合唱を歌ったばかりなので、つい合唱に耳が行ってしまうのは避けられません。これは、冒頭sotto voceの「Requiem」から、ただならぬテンションが漂います。ただ弱いだけではなく、その言葉に込められた恐ろしいまでの緊張感には、思わず震え上がってしまうことでしょう。ところが、「Te decet hymnus」で始まるフーガになったら、それぞれのパートの声の粗いこと。ほとんど音程も無視してしまうほどの雑な歌い方です。しかし、実はこれも彼らの表現のうちだったことが、聴き進むうちに分かってしまいます。こんな一見粗野に見える部分から、恐ろしく繊細な部分まで、彼らの表現の振幅は並みの合唱団のそれをはるかに超えるものだったのです。例えば、「Agnus Dei」で、ソプラノとメゾのユニゾンのあとに続く合唱の繊細なこと。合唱は同じテーマがアレンジを変えて3回登場しますが、3回目の最後にテナーが歌う、ハイGから始まる「dona eis」などは、ピッチ、音色、パートのまとまりなど、さっきのフーガを歌った同じ合唱団とはとても思えないほどの美しさです。
要は、全ての音符をしっかり楽譜に忠実に歌ったうえで、表現上必要なところは思いきり崩すこともいとわないという精神なのでしょう。最初から思いきり崩すことだけに腐心していた、実際に体験した指揮者と合唱団との一番の違いは、そこなのです。
レーベルはDECCAですが、ジャケットにロゴがあるように、これはUNITELで収録された本来は映像ソフトです。CDで聴くと、なんとも平板な音なのにガッカリしてしまいますが、DVDBDのハイレゾ音声だったら、もう少しましなものが聴けるのではないでしょうか。

CD Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-08-21 21:28 | 合唱 | Comments(0)