おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
BACH/Die authentischen Flötensonaten
c0039487_20213129.jpg



Verena Fischer(Fl)
Léon Berben(Cem)
OEHMS/OC 424




このCDに日本の代理店が付けた「帯」には「J.S.バッハ●フルート・ソナタ集」とありますが、これはタイトルの正確な訳ではありません。オリジナルのタイトルは「オーセンティックなフルート・ソナタ集」、こんな「オーセンティック(=真正な)」などという普通はまず見かけない形容詞をわざわざ付けたレーベルの気持ちを汲むのなら、そこまできちんと日本語に直さないことには、日本での販売を引き受ける会社としては片手落ちです。最悪、タイトルには反映させなくても、コメントの中では何かしら説明が必要なのに、ここにあるのは「フラウト・トラヴェルソは~」で始まる、ここで使われている楽器についての説明だけなのですから笑えます。さらに、そんな、この楽器のイタリア語表記など、このCDの本体やジャケットの中をいくら探しても出てこないのですから、そもそもこのコメント自体が意味をなしていません。
かつては、バッハの「フルート・ソナタ」は全部で「6曲」あるとされていました。BWV1030から1035までですね。それぞれ「1番」から「6番」まで番号が付けられていた楽譜もありました。例えば、1974年に行われたカールハインツ・ツェラーのリサイタルのプログラムでも、このように番号が付けられていたのです。
c0039487_20233948.jpg

さらに、時にはBWV1020の「ヴァイオリン・ソナタ」も、フルートで演奏されることもありました。しかし、現在では、変ホ長調の3声のソナタ「第2番」(BWV1031)と、ハ長調の2声のソナタ「第4番」(BWV1033)、そしてBWV1020は、「真正さが疑わしい」とされて、BWVの本体からは外され、「補遺」として扱われるようになっています。つまり、バッハの「真正な」フルート・ソナタは、今では残りの4曲とされているのです。さらに、ここでは間違いなく「真正」な無伴奏フルートのためのパルティータも加えて、タイトル通りの曲が演奏されていることになります。
まるでお笑い番組に出てきそうな顔をした2人の演奏家のうち、長寿番組を引退することを表明した上沼恵美子そっくりのバロック・フルート奏者のヴェレーナ・フィッシャーは、元々はペーター=ルーカス・グラーフやオーレル・ニコレに師事したモダン・フルートの奏者で、ユンゲ・ドイッチェ・フィルをはじめとする数々のオーケストラで首席奏者を務めていました。しかし、1992年に一念発起、バルトルト・クイケンやウィルベルト・ハーツェルツェットといった大御所の許でバロック・フルートの勉強を始めます。という経歴を見て、そんなフルーティストを昔聴いたことがあったな、と調べてみたら、たしかにこちらで取り上げていました。これは2007年頃の録音でしたが、今でもこの頃の欠点がそのまま残っていましたね。ただ、今回はその欠点をうまく表現として取り入れて、なかなか新鮮なバッハを聴かせてくれています。何よりも、それこそ「真正」のバロック・フルート奏者ではなかなか聴けない斬新な装飾がショッキングです。
「南海キャンディーズ」の山ちゃんそっくりのもう一人の芸人、ではなく、演奏家は、さっきのアルバムでも共演していたチェンバロのレオン・ベルベンです。これも帯では「ベルデン」となってましたね。便秘薬ではありません(それは「デルベン)。この人は何ともエネルギッシュなチェンバロを聴かせてくれていて、主役のフルートを食ってしまいそうなほどガンガンと弾きまくります。時にはモタモタしたフルートを置いてきぼりにして走り去ったり、という、とんでもない伴奏者です。ロ短調のソナタの真ん中の楽章が信じられないほど速いテンポなのは、この人の趣味なのでしょうか。
楽譜は、クイケン校訂のブライトコプフ版を使っているようです。したがって、イ長調の第1楽章の欠損部分の修復も、クイケンによるものです。

CD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
[PR]
by jurassic_oyaji | 2013-09-12 20:24 | フルート | Comments(0)