おやぢの部屋2
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シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の第1稿
 ちょっと前の話ですが、今週の火曜日のニューフィルの練習では、正真正銘「初見」で合奏を行いました。定期演奏会のときに演奏するレパートリーは、もう指揮者との練習も経て徐々に仕上がりへと向かっていますから、今頃「初見」などありませんが、実はまだその時に演奏する曲の中で、全く練習していないものがあったのです。つまり、「アンコール」です。まあ、アンコール(encole)というのは、(同じものを)もう一度、という意味ですから、その日の演奏曲の中から「もう1度」演奏するというのが本来の意味だったのでしょうが、今ではそんなかわいいことをやることはまずありません。つまり、「おまけ」として、「もう1曲」別な曲を演奏するというのが、最近の風潮です。
 もっと言えば、「アンコール」とは、お客さんの求めに応じて演奏される曲です。その日の演奏会がとても素晴らしかったので、この人たちにぜひもう1曲なにか演奏して欲しい、と思って、お客さんがいつまでも席を立たないで拍手をしている時にしか演奏されません。あんまりひどい演奏だったので、最後の曲が終わるやいなやみんな帰り始めた、なんて時には、とてもアンコールを演奏することなんてできません。ただ、ニューフィルのお客さんはみんな優しい人ばかりですから、今までにそんなことがあってアンコールが演奏されなかったことは一度もありませんでしたが(たとえば、1年前のブルックナーの「8番」のように、そのあとにまたなにか演奏するのがはばかれるような時には、最初から用意はしていませんが)。
 ということで、それを何にするかを、この前の歓迎会の時に新田さんに伺ったり、こちらから希望を出したりして、結局同じ北欧の作曲家の短い曲が決まったのですが、実は、その曲を聴いたことがある人は、ほんの数人を除いて私も含めて団員の中には誰もいなかったのです。そんな珍しい曲ですから、パート譜も手に入りません。そこで、その曲を提案した人が持っていたスコアをもとに、各パートでパート譜を作らなければいけませんでした。今はいいソフトがありますから、それを使ったり、原始的な手作業で作ったり、様々な形でパート譜が用意されたのが、まさにこの間の練習の時だったのですよ。それを作った人以外には誰も見たことがない楽譜を使って、80人の人が演奏しようというのですから、すごいですよね。もちろん私も、パート譜は作りましたが、極力音は見ないようにして、出来るだけみんなと同じスタート台に立つことを心がけましたよ。
 その結果、途中テンポが変わるところでカウントの取り方を間違えたパートがあってちょっと止まったものの、それ以外はほぼ完璧に演奏出来てしまいました。これぞニューフィルの「底力」、見事に「魂」を込めてくれましたね。
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 ところで、ちゃんとした曲目の中にあるシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」には、今回演奏する普通の楽譜の他に、最初に作られた別の形のものがあるって、知ってましたか?今の楽譜は、初稿(第1稿)を改訂した「第2稿」なんですよね。その「第1稿」の録音があることはだいぶ前から知っていましたが、この際だからちゃんと聴いてみようと思って、その1991年に録音されたCDを、初めて聴いてみました。かなり大幅な改訂が行われていたということですが、これは特に第1楽章と第3楽章は、全く原形をとどめていない部分が半分以上というものすごいものでした。第1楽章のカデンツァがもう一つあったりして、ヴァイオリニストにとっては大変なものだったみたいですね(だから、初演はあまりうまくいかなかったようです)。第3楽章の「チャラララン・チャラララン・チャッチャ」というフルート2本の聴かせどころも、「第1稿」にはありません。
 その違いを、このCDでは曲の途中に「インデックス」を付けることで、少し説明してくれています。ところが、いまどき「インデックス」に対応したCDプレイヤーなんてどこにもないのですね。きちんと調べてみたいのですが、楽譜が出版されるのはまだまだ先のことで、今のところは自筆稿のコピーしかないのでしょう。誰か、持っている人、いませんか?
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 このCDでは「第1稿」のことを「Original Version」と言っていますが、これを「原典版」と訳しているものをたまに見かけます。これはちょっとおかしな使い方。「Urtext」もしくは「Critical Edition」の訳語が「原典版」です。
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by jurassic_oyaji | 2013-09-13 21:59 | 禁断 | Comments(0)