おやぢの部屋2
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MORGENLICHT/Kirchenlieder & Choräle
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Maria Todtenhaupt(Hp)
Jörg Strodthoff(Org)
Simon Halsey/
Mitglieder des Rundfunkchores Berlin
DG/00289 473 1303




サイモン・ハルジーが2001年から首席指揮者を務めるベルリン放送合唱団は、ベルリン・フィルとよく共演して、その包み込むようなサウンドでオーケストラを飾り立てています(それは「包装合唱団」)。実は、指揮者のハルジーは、このポストの前にはイギリスのバーミンガム市交響楽団の合唱団の指揮者でした。ですから、そのオーケストラの音楽監督であったサイモン・ラトルがベルリン・フィルの芸術監督兼首席指揮者に就任した時に、ハルジーも一緒にベルリンに移った、というような言い方をよくされていますが、実際にラトルがベルリンでのポストをスタートさせたのは2002年ですから、ハルジーはその前からベルリンに居た、ということになりますね。本当はどのような事情だったのかは、憶測に頼るほかはありません。
ハルジーとこの合唱団は、以前からHARMONIA MUNDICOVIELLOといったレーベルになかなかコアなレパートリーを録音していました。どちらのレーベルもSACDでしたから、オーディオ的にもかなり聴きごたえのあるアルバムでしたね。
そんな彼らが、DGという「メジャー」から初めてCDを出したのは、なにか意外なことでした。そして、ちょっとした危惧も感じてしまいました。こういう、マイナー・レーベルで活躍していた「通」好みのアーティストがメジャー・デビューする時に求められているものは、毒にも薬にもならないような、一般受けのするアルバムです。まあ、「大衆に魂を売る」といった、ある意味「堕落」への道をたどるとも思われかねないような路線を取る、ということなのでしょう。「朝の光」などという「爽やか」なタイトルも、そんな憶測を助長するものでしかありません。
ところが、聴いてみると、確かに肌触りはソフトですが、そこには一本ちゃんとした芯が通っていたのには、まず一安心です。それよりも、このCDらしからぬ解像度の高い音は、どうしたことでしょう。SACDを聴きなれた耳にも、そのクオリティは卓越したものに聴こえます。クレジットを見ると、録音とマスタリングはTRITONUS、チーフのノイブロンナー自らがトーンマイスターを務めています。おそらく彼らはマスタリングの腕も一流なのでしょうから、こんな素敵なCDに仕上げることができたのでしょう。
合唱は、フルメンバーから選抜された24人の精鋭が歌っています。ブックレットの写真では、オルガンが設置されているバルコニーに合唱団員も登って、ごく狭いところで窮屈そうに歌っていますが、それがかえって親密なアンサンブルを生んでいるのでしょうね。ちょっと硬質なこの合唱団のキャラはそのまま引き継ぎながら、もう少し緩やかな音楽を伝えようとしているのが、この素晴らしい録音からもよく伝わってきます。
ここで歌われているのは、タイトルにある通り「教会の歌とコラール」、つまり、「讃美歌」です。バッハがモテットや受難曲で用いたコラールもありますが、ほとんどは(キリスト教徒以外の人にとっては)聴いたことのない曲です。しかし、どれも親しみやすいメロディですぐになじむものばかりです。このように、実際に礼拝の場で歌われるのと同じシチュエーションで演奏しているというところから、おのずと敬虔な気分が沸き起こってきます。
ア・カペラもありますが、大半の曲はオルガンやハープの伴奏が付きます。その2つの楽器は、それぞれソロも披露してくれていますが、バッハのプレリュードBWV568を演奏しているオルガンの録音が、とても引き締まっていて素敵です。ハープのソロはBWV846、「平均律」の最初の曲で、あの「アヴェ・マリア」の低音となっている曲です。
さらに、その「平均律」のパターンを取り入れて、この2つの楽器だけでモーツァルトの「Ave verum corpus」を合唱なしで演奏するという、ぶっ飛んだ編曲が披露されています。こんなシュールなアレンジを「メジャー」で堂々と聴かせている関係者に、拍手です。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-09-20 21:10 | 合唱 | Comments(0)