おやぢの部屋2
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BRUCKNER/Symphonien 4 7 8
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Kent Nagano/
Bayerisches Staatsorchester
FARAO/A 108076(BD)




ケント・ナガノとバイエルン州立管弦楽団によるブルックナーは、今までに「4番」と「7番」がリリースされていました。2007年に録音された「4番」は、第1稿を使用、しかもSONYからのSACDということで、ここでも取り上げていたわけですが、2010年録音の「7番」ではただのCDだったので、聴いてません。そして、昨年あたりに2009年に録音された「8番」の第1稿による演奏がやはりSONYからのSACDとしてリリースされる、という案内が出されたのですが、何度も何度も販売延期が続いた後、どういう理由なのか、結局販売中止となっていました。
それが今回、この3曲をまとめたCDボックスが、SONYではなく実際にこの録音を担当したFARAOから販売されることになりました。もちろん、「8番」単品でもお求めいただけるようになっています。しかし、同時に、この3曲を1枚に収めたBDオーディオも発売となったのには驚きました。もちろん、そうなればCDなんかは目じゃありませんから、迷わずこちらをお買い上げです。
このBDオーディオには、トータル・タイムがほぼ4時間の24bit/96kHzの音源が、2チャンネルは非圧縮のリニアPCM、5チャンネルがロスレス圧縮のDTS-HDマスター・オーディオで収録されています。DTSではどのぐらいデータが圧縮されているのかは分かりませんが、単純に圧縮なしで計算すると、BD1枚の容量を超えてしまいますから、ほぼ目いっぱい使っているのでしょう。そんなすごいものが、割引を適用すると2000円台で買えてしまうのですから、信じられないほどの安さです。
まずは、先ほどの「4番」で、同じものがSACDBDオーディオではどのぐらい違うのか、あるいは違わないのかを確かめてみることにしましょうか。これは、SACDはシングルレイヤーではなくハイブリッドですから、幾分劣る部分も出てくるのかもしれませんが、BDの方が一枚上手という感は否めません。とにかく、弦の音が滑らかなんですよ。これこそが「ピュア」という、一点の曇りもない美しさです。SACDでは、時折そこに曇りが生じる場合があるのですね。第2楽章のチェロのテーマなどは、存在感がまるで違います。そして、フィナーレの最後、例の第1稿の目玉、「ポリリズム」(この部分にこの言葉を使ったのは、多分このサイトが初めてのはず)では、SACDではもろに破綻をきたしています。BDでは何事もなかったように、それぞれのリズムがくっきりと聴こえてくるというのに。
録音の現場では、編集の問題などもあってDSDではなくPCMが使われるケースが圧倒的に多いような気がします。アナログ録音からのデジタル・トランスファーでも、PCMの方が多いのではないでしょうか。これまで何度も経験してきたことですが、ここでも元のPCMそのものであるBDと、それを一旦DSDに変換したSACDとの間に、優劣が出てきてしまったのでしょうね。
やっと聴くことが出来た「8番」は、もう音については完璧としか言いようがありません。録音されたファラオ・スタジオの残響まできちんとコントロールされていて、ブルックナーらしさに必要な響きは残しながらも、決して混濁することのない「ピュア」な音が届いてきます(カテドラルでのライブの「7番」は、ちょっと残響に邪魔されています)。ナガノは、以前ベルリン・ドイツ響との2005年のライブをDVDに残していますが、その時にはハース版を使っていたはず、それが今回は第1稿。このところこの楽譜による演奏の録音もかなり増えてきましたが、その中では演奏時間が最も長いものとなっています。それは、「遅い」というよりは、それぞれのフレーズをたっぷり歌いこんだための結果のように思えます。第3楽章のワーグナー・チューバなどは、「演奏」というよりは「礼拝」といった感じさえしないでしょうか。ほんと、これだけの美しい音がケントによってこれだけの荘厳な力で迫ってくれば、誰しも「ブルックナー教」の信徒になってしまうことでしょう。

BD Artwork © FARAO Classics
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by jurassic_oyaji | 2013-09-30 20:56 | オーケストラ | Comments(0)