おやぢの部屋2
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HEININEN, NIELSEN/Flute Concertos
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Mikael Helasvuo(Fl)
Tibor Bogányi/
Saimaa Sinfonietta
ALBA/ABCD 350




このCDのジャケットには、「DXD」のロゴが見えます。ご存知のように、「DXD」というのはノルウェーの2Lというレーベルが初めて用いた24bit/352.8kHzというとんでもない解像度を持つPCMの規格です。その後、デンマークのDACAPOレーベルでも採用、そしてこのフィンランドのALBAです。北欧の人たちは、やはりこのような澄んだ音が好きなのでしょうか。もっとも、先発の2社はDXDで録音したものをSACDBDオーディオとしてリリースしていますから、その「澄み具合」が実感できますが、こちらはただのCDですから、あまり意味があるとは思えません。いずれ、そのようなハイレゾのメディアを出すのか、あるいはダウンロード用の音源に使うのでしょう。
ここには、やはり北欧の2人の作曲家のフルート協奏曲が収録されています。1931年に亡くなったデンマークのニルセンと、その直後、1938年に生まれたフィンランドのパーヴォ・ヘイニネンです。まずは、このところ何かと接することの多いニルセンの晩年に作られた有名な作品です。特に、ここでは、2つの楽章から成るこの曲の第2楽章のオリジナルの形が世界で初めて録音された、というトピックスがあるものですから、そこを重点的にチェックです。
常々、この曲のエンディングには、何か違和感がありました。ソロ・フルートは朗々とEの音をフォルテで伸ばしているのですが、バックのオーケストラはその間に徐々にディミヌエンドをかけて、音を小さくしていくようになっているのですよ。まあ、最後はフルートが一人だけ残るという、いかにもニルセンらしいトリッキーな終わり方なのでしょうが、なんかすっきりしない思いが残ります。トリツク島がないというか。
そこで、今回初録音の初稿を、楽譜を見ながら聴いてみました(ちなみに、IMSLPでは、最新の全集版をダウンロードできます)。違っていたのは、第2楽章の練習記号「I」(169小節)から後です。初稿は29小節(たぶん)でしたが、現行の改訂稿では99小節と、3倍以上の長さになっています。その間に入っていたカデンツァ風のパッセージは、初稿にはなかったのですね。そして、初稿のエンディングは見事に「ジャン」と元気いっぱい終わっていますよ。なんか、この方が演奏していても気持ちがいいような気がしますが、ニルセンはあえてそれに逆らって、しちめんどくさい終わり方に変えてしまったのでしょう。
フルート・ソロは、フィンランドの名手ミカエル・ヘラスヴォです。かつては、新しい作品の世界初演などを数多く手がけていて、超絶技巧の持ち主として知られていた人ですが、正直、もはや「旬」はとっくの昔に過ぎてしまったという感があるのは残念です。息のコントロールがきかなくなっているため、音程やアタックがかなり怪しげ、聴いていて辛くなってしまいます。
もう一つの協奏曲は、ヘイニネンが2010年に作った(2012年に改訂)「Autrefois」というタイトルのフルート協奏曲です。このタイトルはフランス語で「むかしむかし」という意味ですが、ヘイニネンが小さいころに聴いたシベリウスの同じタイトルの曲(op.96の「3つの小品」の2曲目)の印象がとても強く残っているということで、タイトルと、そこに込められたコンセプトを使ったのだそうです。それは、ヘイニネンにとっての「むかしむかしの音楽」、その中には、自分自身のかつてのとんがっていた作風の音楽も含まれているのでしょう。
曲全体は、そんなタイトルから連想されるような、何かいろいろな方面の「むかしむかし」が含まれているもので、「現代音楽」に慣れ親しんでいる人にとってはある意味聴きやすい、というかほほえましい作品ではありました。特に最後の「子守唄とバッカス礼賛」という楽章では、ワルツ風のダンスなども登場して、楽しめます。
ただ、ここでも、ソリストが彼の技量を超えた楽譜に悪戦苦闘している様子がはっきり分かってしまいます。

CD Artwork © Alba Records Oy
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by jurassic_oyaji | 2013-10-06 19:47 | フルート | Comments(0)