おやぢの部屋2
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BLAKE/Wind Concertos
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Jaime Martin(Fl)
Andrew Marriner(Cl)
Gustavo Núnez(Fg)
Neville Marriner/
Academy of St Martin in the Fields
PENTATONE/PTC 5186 506(hybrid SACD)




アルバムタイトルは「The Barber of Neville」、これは、ロッシーニのオペラ「セヴィリアの理髪師」の英語表記「The Barber of Seville」のもじりですね。「Seville」の頭文字を変えると、ここでの指揮者のファーストネーム「Neville」になってしまうという、ベタなものです。これは英語だから笑えるのであって、それを日本語で分からせるのは至難の業。なんで「セヴィリア」が「ネヴィル」なんだと突っ込まれるのがオチです。帯コピーでそのまんま「ネヴィルの理髪師」と訳した代理店は、なんと勇気があることでしょう。
それでも、なんで「理髪師」なのか、という疑問は残ります。それは、インレイにちゃんと英語で説明してありました。なんでも、作曲家のハワード・ブレイクと指揮者のネヴィル・マリナー、そしてネヴィルの息子のクラリネット奏者アンドリューは、お互い全く気が付かないで同じ理髪店に通っていたのだそうです。その利発な店主の計らいで3人が顔を合わせることになり、そこからこのアルバムを作る計画が始まったということです。このジャケット写真は、実際のその「ジャン・マリー理髪店」の中で撮影されました。「なんでこんなとこにいるんですか!」みたいに作曲家と指揮者が顔を見合わせている、というヤラセなのでしょう。
そんな「顔合わせ」の結果出来上がったこのアルバムでは、そのハワード・ブレイクが作った管楽器のための協奏曲と、木管八重奏が演奏されています。もちろん、オーケストラはマリナーが指揮をしたASMF、木管八重奏のメンバーも、その管楽器セクションです。全て、これが世界初録音となります。
ブレイクは、もちろんクラシックの「現代作曲家」ですが、同時に映画音楽なども数多く手がけていて、例えばレイモンド・ブリッグスの絵本「The Snowman」をアニメ化した時の音楽は非常に有名ですね。その中のナンバー「Walking in the Air」は、もはや一つのポップ・チューンとして多くのアーティストにカバーされていますし。つまり、「クラシック」と「ポップス」の両方で活躍している作曲家ということが出来るのでしょう。そういう意味で、このブックレットの中の紹介文では「最近の作曲家で、同じような作曲家を挙げるとすれば、それはレナード・バーンスタインだろう」と書かれています。さらに「しかし、彼は、バーンスタインよりナチュラルで、トラブルの少ない作曲家だ」と続くあたりは、ちょっと意味深。
2001年までロイヤル・フィルの首席奏者を務め、現在はASMFやヨーロッパ室内管弦楽団の首席奏者となっているスペイン出身のフルーティスト、ハイメ・マルティンのソロによる「フルート協奏曲」は、この中では最も「ポップス」寄りの仕上がりになっていました。最初の楽章でフルートに現れるフレーズは、まさに「Walking in the Air」そっくりのテイストを持っているものです。それに続いて弦楽オーケストラが同じテーマを奏でる中で、フルートは技巧的な変奏を披露、というのもとても分かりやすい展開ですね。最後のマーチ風の楽章も、そのまんま「The Snowman」のサントラに使えそうなキャッチーなものですし。
しかし、ロンドン交響楽団の首席奏者を務めるアンドリュー・マリナーや、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者のグスターヴォ・ヌニェスがそれぞれソリストとして演奏しているクラリネット協奏曲とファゴット協奏曲では、もう少し陰のある和声が用いられていて、ちょっと厳しい一面も感じられることでしょう。おそらく、この2曲あたりが、彼が最も「クラシック」の作曲家としての意地を見せたかったものなのかもしれません。とは言っても、時折現れる軽快なシンコペーションなど、楽しませる要素も満載です。
木管八重奏による「セレナード」は、いにしえのハルモニー・ムジークっぽいからっとした楽想ですが、真ん中の楽章のちょっと切ないメロディには、惹きつけられます。

SACD Artwork © PentaTone Music b.v.
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by jurassic_oyaji | 2013-10-21 01:00 | オーケストラ | Comments(0)