おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
Sprung Rhythm
c0039487_20415649.jpg



Richard Scerbo/
inscape*
SONO LUMINUS/DSL-92170(CD, BD)




かつての「DORIAN SONO LUMINUS」というレーベル(その前は「DORIAN」)は今ではただの「SONO LUMINUS」と名前を変えていますが、品番(DSL)にはまだその名残があります。持ち主は変わっても、どこかにレーベルの元の名前を残しておきたいという願いの現れなのでしょうね。日本でも、かつてあった「EMIミュージック・ジャパン」という会社では、品番の頭に「TO」という文字を入れていましたが、これもこの会社が出来たときの社名「東芝音楽工業」の頭文字をずっと守っていた結果なのでした。
「輝ける音」という名前の通り、SONO LUMINUSはまず音にこだわるレーベルとして再スタートしたようでした。そこで、こちらにあったように、CDBDオーディオとを同じパッケージで発売するようなアイテムもリリースされています。もちろん、このレーベルのBDオーディオには、24bit/192kHzのハイレゾPCMデータが収録されていて、BDプレイヤーで再生すればSACDをしのぐほどの高音質を楽しむことが出来ることは、すでにご存じでしょう。
今回のアルバムも、そんな音質重視のBDCDの2枚組でした。タイトルは「弾けるリズム」、いかにも生き生きとした音が弾け出てくるようなイメージがありますね。とは言っても、これはそんな浮ついた、これ見よがしに大音響で音の良さを誇示するというようなものではありませんでした。
ここでは、3人の若い作曲家の作品が、それぞれ2曲ずつ収められています。まず、ナタン・リンカン=デクサティスという、自身がジャズ・ピアニストでもある作曲家の作品の「A Collection of Sand」を聴いてみましょう。編成はこの中では最も大きいものですが、それでも弦楽五重奏+木管四重奏+ハープ、ピアノ、打楽器というコンパクトな室内楽です。一聴してスティーヴ・ライヒの影響を強く受けていることが分かる作風で、同じ音型の繰り返しや単調なパルスが続く曲ですが、もちろんそれだけでは終わらない独特のリリシズムも持っています。そんな、何層にも重なった音の綾が、CDだとイマイチぼやけてしまっているのですが、それがBDではすべての楽器がしっかりと浮き上がってくっきりと聴こえてくるのですね。そこからは、プレイヤーそれぞれの息遣いまでもが伝わってきて、より深いところで音楽と向き合えることが可能になります。これこそが、ハイレゾで再生音を聴くときの最も重要なポイントなのかもしれません。オーディオ的な追求というのは、最終的には音楽をより作り手の思いに近いところで聴くための手段にすぎないのですよ。
次のジョセフ・ホールマンという作曲家からは、それとは全く異なるバックグラウンドが感じられるというのが、やはりアメリカらしいところです。この人のスキルはおそらくかなりの多様性をもっているのではないでしょうか。基本的には伝統的なところを押さえつつ、もっとアヴァン・ギャルドな技法にも果敢に挑戦する、といった姿勢でしょうか。「Three Poems of Jessica Hornik」ではソプラノのけだるいソロに伴奏を付けるという手法ですが、もう一曲の「imagined landscapes」では、シュプレッヒゲザンクまで使って前衛的に迫ります。
そして、三人目のジャスティン・ボイヤーという人は、聴く人を喜ばすことを考えられる作曲家のようです(写真を見るとただのボーヤ)。「Con slancio」ではバス・クラリネット、「Auguries」ではファゴットというソロ楽器を立てて、弦楽器との愉悦感あふれるプレイを披露させています。
この「Auguries」という曲だけが、CDには時間が足らずに収録されていません。しかし、BDで聴き終わった後にCDを聴くと、もうこんなものは二度と聴きたくなくなるような気持になってしまうほど。まさにこのCDは、ただBDの音の良さを際立たせるためのサンプルにすぎないのですから、1曲ぐらいなくても全くどうでもいいのですよ。そのぐらい、このBDはすごい音を聴かせてくれています。

CD & BD Artwork © Sono Luminus LLC
[PR]
by jurassic_oyaji | 2013-10-28 20:43 | 禁断 | Comments(0)