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SCHULHOFF, KRENEK, D'INDY/Concerti Grossi
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Maria Prinz(Pf), Karl-Heinz Schütz(Fl)
Christoph Koncz(Vn), Robert Nagy(Vc)
Neville Marriner/
Academy of St Martin in the Fields
CHANDOS/CHAN 10791




この前のブレイクPENTATONE)とほとんど同じ時期に、同じ会場で録音されたマリナーとASMFの新譜です。ブレイクの時は全て世界初録音でしたが、こちらでも1曲は初録音、そんな珍しい曲の録音をほとんど90歳になろうかという指揮者が集中的に行ったのですから、これはまさに奇跡に近いものです。
ここではシュルホフ、クルシェネク、ダンディという、いずれも前世紀の前半に活躍した3人の作曲家の複数の独奏者のための協奏曲が録音されています。全ての曲でピアノとフルートが参加、クルシェネク(これが初録音)にはヴァイオリン、ダンディにはチェロが加わります。その4人の中で最も若いのは、まだ20代のウィーン・フィルのセカンド・ヴァイオリンの首席奏者コンツでしょうが、その次に若いのがやはりウィーン・フィルの首席奏者シュッツでしょう。
インスブルック生まれのカール=ハインツ・シュッツは、フィリップ・ベルノルドやオーレル・ニコレに師事、2つほどのコンクールで1位を取った後、2000年から2004年まではシュトゥットガルト・フィル、2005年から2011年まではウィーン交響楽団の首席奏者を務め、その後にウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバーとなります。同時にウィーン・フィルのメンバーにもなるのですが、まだ「新入団員」扱いのようですね。この辺の事情は複雑なようですが、歌劇場管弦楽団では首席奏者でも、ウィーン・フィルではまだ「仮団員」なのでしょうか。いずれにしても、これでシュルツと、そしてフォーグルマイヤーが抜けてしまった穴はアウアーとこのシュッツによってシュッと埋められたことになりますね(実は、「シュッツ」と聞いて、最初は「シュルツ」だと思ってしまいました。退団直後に亡くなってしまったヴォルフガング・シュルツの息子のマティアス・シュルツも、歌劇場管弦楽団のメンバーだったはずなので、てっきり彼が昇格したのかと)。
そんな、おそらくこれからのウィーン・フィルの「顔」となるはずのシュッツの演奏を、ちょっと初めて聴くにはマニアックすぎるレパートリーで味わってみることにしましょうか。まずは、シュルホフの「Concerto doppio」、イタリア語で「二重協奏曲」です。一応ピアノとフルートがソロ楽器になっていますが、ほとんどフルート協奏曲のように聴こえてしまうほどピアノのパートは目立ちません。そんな中で、シュッツの音はとてものびやかに響きます。決して派手ではありませんが、もっと深いところから味がしみ出してくるような、とても落ち着いた音色、しかし、細かい音符が続く技巧的なところではとてもなめらかに聴かせてくれています。これは、かなりウィーン・フィルとは相性の良いフルートのような気がしますが、どうでしょうか。例えば、前任者のシュルツあたりは、このオーケストラの中ではあまりに個性が強すぎて時には異質に感じられるときもありましたが、シュッツの場合はそんな心配は全くないのではないでしょうか。穏やかな中にも、強い主張を込める、といった感じです。特に、このようなちょっと煮え切らない作風の曲の中でも、しっかり納得のいくような表現を行っているところには、かなりの音楽性を感じます。
クルシェネクの「コンチェルティーノ」の場合は、ヴァイオリン・ソロの比重が高くなっています。シュルホフに輪をかけて意味不明の音の羅列、今までずっと録音されなかったことが納得できる作品ですが、やはりそこからもフルートは確かな「歌」を聴かせてくれています。
ダンディの「協奏曲」は、この中では最も共感が持てるパッションのある作品。すべての楽器が伸びやかに楽しんでいるようです。この作曲家のファースト・ネームは普通はフランス語読みで「ヴァンサン」なのでしょうが、最近ではこの帯のような呼び方もされるのでしょうか。
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CD Artwork © Chandos Records Ltd
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by jurassic_oyaji | 2013-11-07 23:48 | フルート | Comments(0)