おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
PROKOFIEV/Piano Concerto No.3, BARTOK/Piano Concerto No.2
c0039487_206874.jpg




Lang Lang(Pf)
Simon Rattle/
Berliner Philharmoniker
SONY/88883773809(BD)




ラトル/BPOとランランという組み合わせによる新し目のピアノ協奏曲の新録音です。同じデザインのCDも出ていますが、こちらはBD。ちょっとややこしいのですが、そのCDBDの違いについて、まず。
このコンビが演奏しているのはプロコフィエフの3番とバルトークの2番という2曲のピアノ協奏曲です。それは、最近では珍しくなったセッション・レコーディングによって作られたもので、CDにはその成果の音源が入っています。もちろん、普通のCDですから、16bit/44.1kHzという、標準的なスペックのPCMです。それに対して、BDでは、その同じ音源が24bit/96kHzのハイレゾPCMで収録されています。このレーベルとしては初めての「ブルーレイ・オーディオ」ですね。
ただ、ジャケットの表側では、それに関しては全く触れられておらず、あくまで「映像」としてのBDのコンテンツの紹介にとどまっています。それは、「The Highest Level」というタイトルの、このレコーディングのメイキングと、プロコフィエフを全曲通した時のランスルーの映像です。ですから、それだけを見ると、ここにはバルトークは入っていないのだ、と誤解を招きかねない表記ですね。もちろん、裏側を見ればそれはきちんと書かれているのですが、それもかなり不親切な書き方です。
いかにも映像作品の方がメインで、ハイレゾの音声データは「おまけ」みたいな扱い、ただCDよりもいい音のハイレゾを聴きたかっただけなのですから、そんな映像はどうでもいいのですが、それも値段のうちなので一応見てみることにしましょう。
メイキングの方は、型通り関係者へのインタビューやフィルハーモニーでの録音風景などが組み合わされた構成です。あいにく日本語字幕はありませんが、英語字幕を出しておけばほぼ理解はできます。そこで最も興味深かったのは、ランランの余裕たっぷりの振る舞いなどではなく、録音のプレイバックを聴きながら演奏家とスタッフがディスカッションしてそれをさらに現場にフィードバックする、という光景でした。これこそがセッション・レコーディングの醍醐味ですから、そこを重点的に紹介してくれたのにはうれしくなりました。
そこで、現場を仕切っていたプロデューサーが、クリストフ・フランケという人です。ベルリン・フィルでは、2009年ごろから「デジタル・コンサートホール」というライブ映像のネット配信事業を始めていますが、彼はそのプロデューサーなのですね。そして、エンジニアが、なんとTELDEX STUDIOSのルネ・メラーではありませんか。すごい人が参加していたんですね。映像でも、メラーはフランケの後ろに立っていました。実は、この二人は、2010年に録音され、もちろんEMIからリリースされたマーラーの2番のCDでも、すでにスタッフとしてクレジットされていました。その前のほぼ10年間は、EMI Classicsの副社長のスティーヴン・ジョーンズがずっとラトル盤のプロデュースをしていたのですから、もうその時点で制作はEMIの手を離れていたのですね。この映像でのラトルとフランケの親密な様子を見るにつけ、EMIの凋落ぶりを思い知らされます。ラトルのクレジットで、いまさら「appears courtesy of EMI Classics」とあるのが、なんとも白々しいですね。もうそんな名前の会社はどこにもないというのに。
映像を一通り見終わって、メニューからブルーレイ・オーディオを選択したら、モニターの画面が消えてしまいました。これは初めての経験、普通はきちんとガイドの画面が出るというのに、「おまけ」扱いもここまで来ると腹も立ちません。もちろん、その音は到底CDや、それまで聴いていた映像の圧縮された音声チャンネルとは別格の瑞々しさを持っていました。それは、プロコフィエフの冒頭のクラリネットの存在感が全く違っていることで実感できますし、ランランの爛々ときらめく変幻自在なタッチもより生々しく伝えるものでした。

BD Artwork © Sony Music Entertainment
[PR]
by jurassic_oyaji | 2013-11-21 20:07 | ピアノ | Comments(0)