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RÓS/Songs of Christmas
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Berit Opheim(Voc)
Gjermund Larsen(Vn)
Grete Pedersen/
Det Norske Solistkor(The Norwegian Soloists' Choir)
BIS/SACD-2029(hybrid SACD)




ノルウェー・ソリスト合唱団の最新作です。ほぼ1年ごとにBISから届く彼らのアルバムは、録音と演奏の両面で最高のものを与えてくれていて、常に期待が背かれることはありません。今回は2009年に録音された「白夜」というアルバムで登場したフォーク・シンガーとヴァイオリニストが再びフィーチャーされたクリスマス・アルバムです。
その前に、アーティストの表記について。何しろ、こういう北欧の人たちの名前ときたら、単純にアルファベットをローマ字読みにして片付くようなものではありませんから、日本語表記に関しては基本的に代理店のインフォに頼らざるを得ません。そこで、「白夜」の時にはそれに従い指揮者は「ペデーシェン」、シンガーは「オフェイム」と表記していたのですが、このアルバムになったら、なんとそれが「ペーデシェン」と「オプハイム」に変わっているではありませんか。もう、こういうところのものは一切信用しないのだ、と、固く心に誓うのでした。。
そんなことは、ここで演奏しているノルウェーのアーティスト達は全くあずかり知らぬこと、今回はタイトルをキリストや聖母マリアのメタファーである「バラ」と定めて、なんとも粋なアルバムを作ってくれました。
まず、最初はプレトリウスの有名な讃美歌「Es ist ein Ros' entsprungen 一輪のバラが咲いた」が、ノルウェー語によって歌われます。その言葉の響きと、まるで冷水で洗ったばかりの果実のようなサウンドによるア・カペラの合唱は、最初の音から北欧の世界への入り口を用意してくれていました。今回の録音は、今までのものからさらにワンランク高まったクオリティを感じさせてくれるもの、まるで彼らが吐き出す息の白さまで感じられるようです。
そのあとに、今回参加しているミュージシャンによるインスト物が披露されます。前回のフィドル奏者(今回は「ヴァイオリン」と表記されています)ラーシェンにリュートのロルフ・リスレヴァンが加わって、全くテイストの異なるローカル色豊かな音楽が披露されます。あ、このリュート奏者は、男性です(「レスヴィアン」ではありません)。そして、そこに合唱が登場した時には、それは先ほどの洗練された讃美歌とは全く異なる「民族的」な歌い方を駆使して、更なる魅力を伝えてくれます。もちろん、そこにはさらに「フォーク・シンガー」のオプハイムと、ジャズ・ベーシストのビョルン・シェッレミルが加わっていることも、大きなファクターであることは言うまでもありません。
ここで、指揮者のペーデシェンが構成を担当した、9曲から成る「組曲」の登場です。最初と最後を飾っているのが、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの「O vis aeternitatis おお永遠の力よ」です。ドローンに支えられた単旋律の聖歌ですが、その無音から始まるドローンを、男声合唱が信じられないほどの繊細さで歌っています。そこに、ほんのりと彩られる女声合唱や楽器の塩梅は、まさに絶品です。とても素晴らしいソロは、この合唱団のメンバーによるもの。彼女の作品は、それ以外にも完全なプレーン・チャントとして男声だけで歌われる「Ave generosa めでたし、気高き方」と、しっかりコーラスとしてペーデシェンがアレンジした「O frondens virga おお、葉の茂った小枝よ」が入っています。
と、それらとは全く出自の異なるトラディショナルが、「バラ」というキーワードだけのつながりで入ってきます。こういう「フォーク・ソング」の扱いが、この指揮者と合唱団とのユニークなところ、今回も、そんな音楽史の王道と辺境とのコラボレーションが見事に決まっています。この組曲中(いや、アルバムの中でも)最も演奏時間の長いデンマークに由来する伝承歌「I denne søte juletid 愛らしいこのクリスマスの時に」は、分厚いコーラスに彩られて最高に聴きごたえのあるものに仕上がりました。
今年も、最高の演奏と録音は裏切られることはありませんでした。おそらく、今年一番の贈り物となったことでしょう。

SACD Artwork c BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2013-12-09 20:57 | 合唱 | Comments(0)