おやぢの部屋2
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MOZART/Die Zauberflöte
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Pavol Breslik(Tamino), Kate Royal(Pamina)
Dimitry Ivashchenko(Sarastro), Ana Durlovski(KdN)
Michael Nagy(Papageno), Regula Mühlemann(Papagena)
Robert Carsen(Dir)
Simon Rattlee/
Rundfunkchor Berlin(by Simon Halsey)
Berliner Philharmoniker
BERLINER PHILHARMONIKER/BPH130012(BD)




1967年にカラヤンによって創設されたザルツブルク・イースター音楽祭は、カラヤンの手兵ベルリン・フィルがオペラを演奏するというコンセプトで、今日までベルリン・フィルの音楽監督の指揮によって継続されてきました。しかし、昨年、様々な問題があって、ベルリン・フィルはこの音楽祭から完全に撤退することになったのだそうです。そして新たに、今年、2013年からバーデン・バーデンで、同じくイースターの期間に音楽祭を開催することになりました。そのオープニングを飾ったのが、サイモン・ラトルとベルリン・フィルによる「魔笛」の、新演出による公演です。それは期間中に4回上演されましたが、その最後の2回分を収録、編集した映像が、発売になりました。実はこの映像にはNHKも共同制作として加わっていたために、これ自体はすでにBSで全曲放送されていたのですが、それは千秋楽、4月1日だけのライブ映像でした。
このBDのボーナス・トラックにはベルリン・フィルのライブ映像の配信サイト「デジタル・コンサートホール」でインタヴュアーとして登場しているホルンの団員のサラ・ウィリスが、演出家やバックステージのスタッフにインタヴューしている映像が入っていますから、これもBSでは決して見られないものです。そして、これはきのうの「禁断」に書いたことですが、このBDはBSよりもはるかにいい音で聴くことが出来ます。
ラトルにとっては、これがこのオペラの初体験だということですが、そんな「初めて」ならではの恐れを知らない果敢なアプローチが随所に見られます。まずは、かなり自由な装飾の挿入、最初の3人の侍女のトリオで、最後に長々とカデンツァが入っていたのにはびっくりしましたね。それに続いて出てくるパパゲーノは、パンパイプではなくて「鍵盤ハーモニカ」を吹いています。きちんと「G」の鍵盤にテープを貼って、間違えないようにしているのがご愛嬌。もちろん、彼が渡される「グロッケンシュピール」は、チェレスタではなくキーボードグロッケンシュピールが使われています。先ほどのバックステージ紹介で、ピットの中にシードマイヤーの現物が確認できました。フルートと共にこの作品では重要な意味を持っている楽器だということでしょう、最後の大団円の時には、この楽器が華々しくフィーチャーされていましたね。
そして、ラトルの音楽は、テンポの大胆な変化で、今まで聴き慣れたモーツァルトとは一味違うものを見せてくれています。先ほどの3人の侍女のトリオでは、始まりがやたらと遅いテンポだと思っていると、次第にアッチェレランドをかけてダイナミックに畳みこむような表現に変わっていったりしています。モノスタトスのアリアの途中でも、いきなりブレーキがかかって驚かされたりします。それらの「小技」は、確かにこの作品の新たな一面を知らせてくれるものではありますが、「そこまでするの?」という場面もなくはありませんね。
ロバート・カーセンの演出も、やはりある種の「読み替え」なのでしょう。ただ、夜の女王や侍女たちの位置づけは、いまいち納得がいかないものでした。気持ちは分かりますが、どうにも整合性が取れないのですね。まあ、基本的にすべての人が仲良くなるというノーテンキなプロットだ、ということで、無理やり理解するしかありません。
部分的には、なかなか秀逸なところも見られます。3人の童子の扱いもその一つ。パミーナとパパゲーノがそれぞれ自殺を図ろうという場面で3人が現れる時には、その時の歌い手と同じ衣装、という意匠は気がきいてます。そのあとの方の場面で、パパゲーナの姿を見つけた時の一人の少年の表情はなんとも言えません。それに続くパパゲーノとパパゲーナのデュエットのアイディアは、涙が出るほど素敵でした。

BD Artwork © Berlin Phil Media GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-12-11 20:18 | オペラ | Comments(0)