おやぢの部屋2
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ReComposed by Max Richter, Vivaldi/The Four Seasons
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Daniel Hope(Vn)
André de Ridder/
Konzerthaus Kammerorchester Berlin
DG/481 0044




5年ほど前に、クラシック専門のはずのDGレーベルからこんなぶっ飛んだアルバムがリリースされたことがありました。音楽自体はクラシックとは全く無縁のダンス・ミュージックざんす。ただ、その素材としてDGの秘蔵品の、カラヤンとベルリン・フィルのマスターテープが使われていたのでした。偶然通販サイトで輸入盤を見つけて入手したのですが、しばらくしてから国内盤としてもリリースされたようですね。もちろんユニバーサルの「クラシック」部門からの販売です。よくぞ出してくれた、と、日本のユニバーサルのスタッフを褒めてあげたい気持ちになりましたね。
この「ReComposed」シリーズは、これだけではなく他のアイテムも出ていたのでしょうが、「クラシック」として引っかかったのはこれだけでした。そうしたら、たまたま2012年にもこんなものが出ていることが分かりました。通販サイトでは「クラシック」ではなく「ダンス&ソウル」のカテゴリーに入っていましたから、見つからなかったのですね。
こちらは前作よりももっと普通の「クラシック」的な仕上がりです。何しろ、音源はテープなどではなく、グァルネリ・デル・ジェスと室内オーケストラという生楽器なのですからね。初演も普通のコンサートホールで行われていましたし、今年のルツェルン音楽祭でも「演奏」されています。そう、今回「リコンポーズ」の対象となったのはヴィヴァルディの「四季」なのです。編成はオリジナルと同じですが、ちょっとした色付けのためにハープも入っています。
その「再作曲」を行ったのは、1966年生まれのドイツのピアニスト/作曲家のマックス・リヒターです。彼はイギリスで作曲とピアノを学びますが、フィレンツェでルチアーノ・べリオにも師事しているそうです。1989年には前衛的なパフォーマンスを行う「ピアノ・サーカス」という6人のピアニストのグループを結成、ペルト、グラス、ライヒといったミニマリストに多くの作品を委嘱、初演しています。作曲家としても、ジャンルを問わずオールラウンドに活躍しているようで、多くの映画やドラマの音楽も担当しています。どうも「ポスト・クラシカル」という、分かったような分からないようなカテゴライズをされているようですね。
そんなリヒターによって装いも新たに登場した「四季」は、彼自身によれば「75%はオリジナルの素材を用いている」のだそうです。「素材」というのが曲者ですね。最初のうちは「いったいどこが『四季』なんだ?」という、それこそアルヴォ・ペルトみたいな世界が広がります。しかし、良く聴いてみると確かにその中に「春」の断片が隠れているのですね。それが「春0」なのでした。「春1」になると、はっきりとヴァイオリン・ソロのフレーズが顔を出しますが、それはそのまま続くのではなく、やはり「断片」として繰り返されるだけです。「きちんと最後までやってよ!」という気持ちのまま、その楽章は終わります。
しかし「春2」では、やはりペルトっぽい和声に変わってはいますが、オリジナルに近いイントロのあとに、そのまんまのヴァイオリン・ソロが入ってくるので安心していると、それは2小節で終わり、その後には全く別のフレーズがつながっているというサプライズですから、油断はできません。
「秋1」あたりは、そんな原曲通りだと思って聴いているといきなり肩透かしを食らう典型でしょう。最初の3小節はきちんと楽譜通りなのですが、その3小節目の終わりの休符がなくなってそのまま次の小節に飛び込みますから、結果的に4拍子・4拍子・3拍子という変拍子になってしまいます。そのあとは1拍半カットされるので、もっと細かい変拍子、それこそ「春の祭典」みたいな変拍子の嵐です。
ペルトやライヒに馴染んでいる人は思わずニヤリとしてしまうようなヴィヴァルディです。まあ、国内盤で出しても売れないでしょうがね。

CD Artwork © Universal Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-12-13 20:46 | ヴァイオリン | Comments(0)