おやぢの部屋2
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MUSSORGSKY/Pictures at an Exhibition(arr. Breiner)
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Peter Breiner/
New Zealand Symphony Orchestra
NAXOS/8.573016




ムソルグスキーの「展覧会の絵」の、最新のオーケストラ版の登場です。編曲を行ったのは、1992年にBeatles Go Baroqueという痛快なアルバムを、同じNAXOSに録音したスロヴァキア生まれの才人、ピーター・ブレイナーです。この、「バロック風ビートルズ」は非常によくできたアレンジで、ビートルズの曲と、バロックの大家の作品の双方に対してのリスペクトがしっかり感じられるものでした。何しろ、バッハの「組曲第2番」を、フルート協奏曲という形までそのままに下敷きにして、見事にビートルズを演奏しているのですからね。「ポロネーズ」などは、しっかり中間部の技巧的な変奏も入れたうえで、「Hey Jude」になっていますよ。
なんせ、「展覧会」と言えば、クラシックだけでなく和楽器やロックにアレンジされたり、全編シンセサイザーで演奏されたりと、あらゆるジャンルで使われている「素材」ですから、これから新しいものを作ろうというのはかなり大変なことでしょう。クラシックの場合は、モーリス・ラヴェルの仕事が一つのスタンダードにもなっていますから、そこにもまず一つの壁がありますしね。
今回のブレイナーの方針は、あくまで「古典的なオーケストラの編成」にこだわって、新しいサウンドを作り上げる、というものでした。これは、まるで映画のサントラのようなゴージャスな仕上がりを目指したものなのでしょう。
そのような迫力のあるサウンドは、素晴らしい録音があってこそ真の力を発揮するものです。そこで、おそらくブレイナーは、編曲の段階からしっかり録音された時の音を考えながら作業を進めていたのではないでしょうか。特に打楽器に関しては(彼は打楽器奏者でもあります)、バスドラムにはダイナミック・レンジと超低音の伸びを担わせ、グロッケンやスネアドラムには音色に彩りを添えさせるというように、大活躍をさせています。もちろん、原曲にはなかった生き生きとしたリズムを強調することも忘れてはいません。金に糸目はつけませんから(それは「スネオドラム」)。
さらに、それぞれの楽器は普通にオーケストラで使われるものですが、それを常識にはとらわれない組み合わせによって、今まで聴いたことのないような音色を出すことにも力を入れています。例えばラヴェルの場合では、「古典的」なオーケストラには登場しないアルト・サックスなどを使って独特の味を出していましたが、ブレイナーはそのような「反則技」に頼ろうとはしていないのです。ですから、そのサックスの音があまりにも有名な「古城」での最初のソロは、ファゴットに2オクターブと5度上の音のピッコロを重ねるという隠し味で、まるでオルガンのような味を出しています。
さらに、彼はラヴェルのように新たに小節を挿入したり、プロムナードを割愛したりはせず、基本的にピアノ譜(もちろん、ラヴェルが元にした改訂版ではなく、原典版)に忠実な「尺」を守っています。ただ、なぜか「テュイルリー」だけは半音低く移調しています。そのために、前のプロムナードの最後の「ファ♯・ソ♯・ド♯」というフレーズだけを半音下げて、違和感なくつなげるようにしています。おそらく、そこでトランペットにメインのメロディを吹かせるために、ロ長調というシャープ系ではなく、変ロ長調というフラット系に直したのではないでしょうか。どうしてもトランペットの音色が、ここでは欲しかったのでしょう。次の曲の頭が半音高く聴こえるのは気にしないようにしましょうね。
フルート吹きにとってうれしいことに、「殻を付けた雛」では、前打音をピアノ譜通りに一部を省いています。ラヴェル版のA♭に付く全打音は、実はかなり吹きずらいんですよね。
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最初CDで聴いて、あまりに録音が素晴らしいのでハイレゾデータ(24bit/96kHz)まで買ってしまいました。こちらではさらに迫力と輝きを増した音が味わえます。パッケージとしてBAも出ていますので、そちらもお勧めです。

CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2014-01-02 19:59 | オーケストラ | Comments(0)