おやぢの部屋2
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Let It Snow!
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Albrecht Mayer(Ob)
The King's Singers
DG/00289 479 1907




本当はクリスマスの時に聴きたかったアルバムですが、諸般の事情で手元に届くのが大幅に遅れてしまい、こんな間抜けな時期に「ジングル・ベル」を聴くことになってしまいました。まあ、一応「冬」がテーマになっているようなので、あまり深く突っ込まなければ大丈夫なのでしょうが。
まず、最初のサプライズは、キングズ・シンガーズがDGレーベルに登場した、ということです。今まで多くのレーベルを渡り歩いたこのグループも、いまではSIGNUMレーベルでコンスタントにリリースを重ね、気が付いたらもう20枚以上のアルバムを出していたというのに、さらにパートナーを変えようというのでしょうか。「生涯現役」とか言って。
いや、おそらくそんなわけではないのでしょう。なんと言っても、今回のアルバムはDGのアーティストである、ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者アルブレヒト・マイヤーの企画によるものなのですからね。今まで様々なアーティストと共演してきたアルブレヒトが、小さな合唱のアンサンブルと共演したいと思った時に、真っ先に思いついたのが、昔からのファンだったこのキングズ・シンガーズだったというわけです。実は、アルブレヒトは子供のころは合唱団に入っていたほどの合唱好き、家には、キングズ・シンガーズのアルバムがたくさんあるというのですね。ですから、彼らはレーベルの枠を超えてゲストとして出演しただけの、「一夜限りのアバンチュール」だったのでしょう。
アルブレヒトとシンガーズは、もちろん今回が初めての共演となりました。しかし、お互いは和気あいあいとした中でレコーディングを行っていたことは、このジャケット写真を見るだけでよく分かります。ちょっとおちゃめなシンガーズの間で、なんだか恥ずかしそうにしているアルブレヒトが、かわいいですね。よく見ると、最前列に座っているのは最古参のデイヴィッド・ハーレイと2012年にメンバーに加わったばかりのクリストファー・ブルーアートン、こんな扱いから察するに、ハーレイの引退もそろそろ、ということなのかもしれませんね。
そのブルーアートンの前任者だったバリトンのフィリップ・ローソン(頭が薄く、髭の濃い人)が、ここではなんとオーボエ・パートの編曲を一部担当しているというのも、ちょっとしたサプライズです。本当に「歌うこと」以外にも才能を持った人たちの集まりだということが、よく分かります。
シンガーズは、今までに何度もクリスマスアルバムを出していますから、レパートリー的には充分、そんな、長年歌い込んだ名曲に、アルブレヒトのオーボエが絡みつく、というのが、基本的なアレンジのプランのようです。しかし、彼のオーボエの音の、なんとまろやかなことでしょう。いや、「まろやか」というのは、かなり情緒的な形容でした。彼は、もっと知的なやり方でオーボエとコーラスの共演というあやうい組み合わせから、ちょっと間違えばミスマッチに陥りかねない事態を回避していたのです。それは、必要とあれば自身のオーボエの周波数帯域から、オーケストラの中では欠かせない突出した倍音を消し去り、もっとなだらかな分布に変えて、巧みにコーラスと溶け合うような音色に変えるという手法でした。アルビノーニの「アダージョ」あたりで、そのプランは見事に開花、ソロとトゥッティとの絶妙な対比は、ため息が出るほどの美しさです。
オーボエ奏者のソロアルバムというアイデンティティを示すために、この中の2曲ではアルブレヒトがひとりでコーラスを伴わず演奏しています。ヘンデルの「サラバンド」はオーボエ2本とコール・アングレ1本という編成(もちろん、多重録音)、バッハの「クリスマス・オラトリオ」からの「シンフォニア」では、そこにさらにベルリン在住のチェンバリスト、荒木紅さんのチェンバロとオルガン(これは「持ち替え」)が加わって、重厚な味を出しています。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-01-10 21:01 | 合唱 | Comments(0)