おやぢの部屋2
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VERDI/Messa da Requiem
VERDI/Messa da Requiem_c0039487_20592373.jpgJuriana DiGiacomo(Sop)
Michelle DeYoung(MS)
Vittorio Grigolo(Ten)
Ildebrandl D'arcangelo(Bas)
Gustavo Dudamel/
Los Angeles Master Chorale(by Grant Gershon)
The Los Angeles Philharmonic
C MAJOR/714804(BD)




ハリウッドの山の中にある巨大な野外コンサートホール、ハリウッド・ボウルでは、毎年クラシックだけではなくジャズやロックのコンサートが開かれています。あの歴史的な「ザ・ビートルズ」のコンサートなどもここで行われました。確か「刑事コロンボ」にも登場したことがありましたね。
ここでLAフィルは、毎年夏のシーズンオフには定期的にコンサートを行っています。暑いです(それは「ハリウッド・ボイル」)。確かに、2002年には、当時このオーケストラの副指揮者だった日本人指揮者、篠崎靖男さんが指揮をしていました。
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そして、昨年2013年には、音楽監督のドゥダメルの指揮によって、「当たり年」の作曲家ヴェルディの「レクイエム」が演奏されました。実は、この会場での映像を実際に見たのはこれが初めてです。なんでも、この会場はいろいろ問題があってなかなかライブ映像を撮ることができないのだそうで、これはかなり貴重なものとなります。
初めて見た「動く」ハリウッド・ボウル、しかし、最初に出てきた、この会場を象徴する「シェル」と呼ばれるステージの形が、さっきの篠崎さんの時の画像とはちょっと違っていることに気づきました。
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実は、このシェルは2003年に今の新しいものに改築されたのだそうです。しかも、改築はそれが初めてではなく、1922年に建てられた時にはこんなシンプルな形をしていました。つまり、今のシェルは「3代目」となるのですね。
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確かに、今のものはPAや照明も改良、さらに外側には大きな映像モニターも設置されていて、しっかり「今の」野外コンサートに対応出来るものになっているようです。
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ただ、おそらく、会場用のPAは、録音用のものとは全く別系統になっているのではないか、という気がします。レコーディング・プロデューサーとしてクレジットされているのが、TELDEX STUDIOのフリーデマン・エンゲルブレヒトで、彼のマイクアレンジであるデッカ・ツリー(+アウトリッガス)をはっきり見ることが出来ますから、これが録音用のメインマイクなのではないでしょうか。実際、BDから聴こえてきた音は、まさにこのマイクアレンジならではの密度の高い、瑞々しいものでした。それと、屋外録音にしてはかなり豊かな残響が聴けますが、おそらくこの巨大なシェル自体が、オーケストラを包み込んで響きを作っているのでしょう。
ドゥダメルは、珍しいことに指揮棒を持っていませんでした。さらに、譜面台も置かないで全曲暗譜です。そんな、まさにストレートに演奏家たちとコンタクトを取っているような迫真の指揮ぶりで、とても熱い音楽を作りだそうとしていることが、よく見て取れます。ただ、必要以上に感情におぼれることはなく、その思いをあくまでインテンポの中で語ろうとしていることも、同時に読みとれるのではないでしょうか。それは、まさにオペラ作曲家であるヴェルディが作った「宗教曲」に対する、理想的なアプローチのように思えます。
そんな流れの中で、時としてソリストたちが過剰に思い入れを込めて歌うために、指揮者の意向とかみ合っていないように感じられる場面が見られます。特に気になるのがメゾ・ソプラノのデヤング。彼女の場合、以前から気になっていた高すぎるピッチとともに、何か常に全体から浮き上がっている感じがしてなりません。
テノールのグリゴーロも、あまりにナヨナヨした歌い方には、抵抗を感じる人は多いのではないでしょうか。その点、バスのダルカンジェロは、一本芯の通った素晴らしい歌を聴かせてくれています。ソプラノのディジャコモも、しっかり地に足の着いた音楽が感じられます。合唱も、水準は並ですが、決して全体の流れを壊すものではありません。
オーケストラのパワーはすごいものでした。ファゴット奏者が、「Dies irae」の直前にあわてて耳栓を装着しているシーンが、それを物語っています。

BD Artwork © C Major Entertainment
by jurassic_oyaji | 2014-02-17 21:02 | 合唱 | Comments(0)