おやぢの部屋2
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MENDELSSOHN/Symphonie No.3 "Scottische"
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Gustavo Dudamel/
Wiener Philharmoniker
DG/479 0083(LP)




LPの再生にはいろいろと手間がかかりますが、調整が完璧であればSACDBA、さらには配信のハイレゾ・データをしのぐほどの音を楽しむことが出来ます。実際、最近山下達郎のLPを聴いていて、ボーカルが少し歪みっぽいな、と思ってチェックしてみたら、針圧がかなり高めだったことに気づき、それを適正なものに直すことによって見違えるように安定感のある、艶やかな音に変えることができました。そこで、今持っているLPをもう一度聴き直しているところです。
そんなものの一つが、このドゥダメルの「スコットランド」です。これは、今の時代にあってLPでしかリリースされなかったという、とても珍しいアイテムでした。なんでも、これは売り上げのすべてがドゥダメルを育てた「エル・システマ」に寄付されるというチャリティ商品なのだそうで、その趣旨に沿って、あえてまだレコードの方が普及している(のでしょうね)ベネズエラの人たちにも聴いてもらえるように、こんな形でのリリースになったのかもしれませんね。
いずれにしても、貴重な「LPの新譜」ですから、これを聴かないわけにはいきません。こんな、今の新譜ではちょっと見られない古典的な黄色いマークのDGのデザインのジャケットというだけで、欲しくなってしまいますよ。しかし、2年前の4月にこのLPを手に入れた時には、まずその盤質に失望させられました。一応「180gの重量盤」と謳っていますが、まず、中央の穴が、おそらく樹脂のはみ出しのせいでしょうか、少し小さくなっていて、押し込まないことにはターンテーブルに密着しません。さらに、端の部分が目で見て分かるほど波打っています。聴いてみても、その音にも演奏にも、特にどうということのない平凡さしか感じることはありませんでした。一応、「そんなはずはない」という気持ちでもう1度聴き直してもその印象は変わらず、したがってレビューを書くほどの気にもなれず、そのまま放っておいてあったのです。
それを、今回聴き直してみたら、以前とは全然印象が変わっていたではありませんか。そんな、たかが針圧ごときのことで、LP自体の感じ方が全く違ってしまうのですから、なんともシビアで辛辣なものです。
これは、レーベルはDGですが、ムジークフェライン・ザールでのウィーン・フィルとの演奏会のライブをオーストリア放送協会が録音したものです。したがって、トーンマイスターもDGの下請けのエンジニアではなく、放送局のスタッフなのでしょう。「商業」録音にありがちな誇張された音ではなく、なんともナチュラルなサウンドが、おそらく最初に聴いたときにはインパクト不足と感じられたのでしょうね。これは、本当にウィーン・フィルとこのホールの醸し出す柔らかな響きを、過不足なく収めた素晴らしいものだと、今回きちんとしたコンディションの下でのLPを聴いて、感じることが出来ました。
ドゥダメルの指揮ぶりも、それほどオケをコントロールしようという強い意志は感じられず、どちらかというとこの名門オーケストラのなすがままに任せて、その中から自ずとにじみ出てくるものを掬い上げてみよう、みたいな、言ってみれば「胸を借りる」姿勢のように聴こえてきます。おそらく、シモン・ボリバルだったら第2楽章はもっときびきびと演奏していたに違いありませんし、第3楽章でももう少し手綱を締めていたのではないか、という気がします。
ところが、第4楽章になったら、いきなりドゥダメルはこのオーケストラに鞭を入れてきましたよ。今まで相手の手の内をうかがっているうちに、「これならできる」という感触をつかんだのでしょうか、なんか攻撃的な指揮ぶりを見せてきたのです。ところが、オーケストラの方はこれに戸惑って、一瞬アンサンブルが乱れてしまいます。それを見て、結局ドゥダメルは元の穏やかな指揮ぶりに戻ってしまうのですね。ライブ録音ならではの、スリリングな出来事でした。

LP Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-02-21 20:22 | オーケストラ | Comments(0)