おやぢの部屋2
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PROKOFIEV/Romeo & Juliet




佐渡裕/
Orchestre de la Suisse Romande
AVEX/AVCL-25032



レーベルはAVEXですが、録音はスイス・ロマンド放送、つまりこれは、200111月に、このオーケストラの本拠地ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで行われた演奏会を、ラジオ放送用に収録した放送音源なのです。現在はパリのコンセール・ラムルー管弦楽団の首席指揮者というポストにある佐渡は、今ではヨーロッパを中心に世界中のオーケストラとの客演を重ねているわけですが、2001年当時というのはその足固めの時期、スイス・ロマンド管弦楽団という、ある意味名門のオーケストラを前にしての、佐渡の男のロマンどいうか、これから世界を征服しようという意気込みのようなものが伝わってくる、ライブならではの「熱い」演奏を聴くことが出来ます。
この日、佐渡が取り上げたプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は、第1組曲から4曲、第2組曲から4曲の計8曲、演奏時間は45分ほどで、それがこのCDの内容の全てです。演奏時間が80分を超えるCDが多い中、これはちょっと少なめ。輸入盤ではかなりのもので総演奏時間がきちんとジャケットの外側に表記されていますが、なぜか国内盤の場合はそれがあまり見あたりません。それだと、かえって少ない中身を隠そうとする作為のようなものが見えて、逆効果だと思うのですが、どうなのでしょう。このCDの場合では、各曲ごとの時間さえ見えるところには表記されていないのですから、なおさらです。
もちろん、時間が短いことをことさら恥じる必要などはさらさら無いことは、このアルバムのように殆ど一気に聴いてしまえるようなものだと明らかになります。時間ばかり長くて退屈極まりないものより、こちらの方がはるかにマシ。そんな聴き方が出来るのは、何よりも、佐渡が醸し出す生き生きとしたリズムが、非常に軽快なものとして伝わってくるからなのでしょう。中でも、スケルツォのような趣の「少女ジュリエット」などは、そんな心地よさが感じられる最たるものです。ただ、佐渡のドライブがあまりに強烈なため、それについて行けないメンバーがいて、アンサンブルに多少のほころびが生じているのはライブということで大目に見ることにしませんか。
もう1曲、「タイボルトの死」の冒頭の躍動感もなかなかユニークなものがあります。一瞬連想したのが、佐渡の師、バーンスタインが作ったミュージカル「ウェスト・サイド・ストーリー」の中のダンスナンバー「アメリカ」なのですから、そのダンサブルなビートにはよっぽど弾けるものがあったのでしょう。案外、バーンスタイン自身も、プロコフィエフのバレエの原作がテーマとなっている彼のミュージカルの中に、意識してこの曲のテイストを盛り込んだのかもしれませんね。
もちろん、しっとりとした曲でも、佐渡の歌い上げ方にはかなりの思い入れが込められています。ただ、そうは感じても、オーケストラの楽器からその「歌」があまり伝わってこないのには、多少のもどかしさを感じないわけにはいきません。特に弦楽器の音の中に、極めて狭い包容力しか感じられないのが、残念です。それが「力」でしか音楽を引き出すことが出来ない佐渡の責任なのか、なめらかな音色を作り出すすべを持たないオーケストラの能力の限界によるものなのか、あるいは平坦で奇を衒わない録音に終始している放送局のスタッフのせいなのかは、私には分かりません。
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by jurassic_oyaji | 2005-07-01 19:23 | オーケストラ | Comments(0)