おやぢの部屋2
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CIMAROSA, MOLIQUE, MOSCHELES/Wind Concertos


Mathieu Dufour(Fl)
Alex Klein(Ob)
Paul Freeman/
Czech National Symphony Orchestra
CEDILLE/CDR 90000 080



風をいっぱいに受けた帆船がジャケットに描かれているとはいっても、これは「風の協奏曲」というアルバムタイトルではありません。「Wind」というのは、フルネームは「Wood Wind」で、「木管楽器」という意味、ですから、もちろんこのアルバムは「木管楽器のための協奏曲」ということになり、フルートとオーボエのための協奏曲が収録されています。ソリストは、録音が行われた2003年には、揃ってシカゴ交響楽団の首席奏者だったフルートのマテュー・デュフーと、オーボエのアレックス・クレインです。ちなみに、クレインは2004年にこのポストを去っています。
バロックの時代には、管楽器のための協奏曲はたくさん作られていますが、ロマン派の時代になると、協奏曲の主役はもっぱらピアノとヴァイオリンに限られてしまった感があります。事実、「シューマンのフルート協奏曲」とか「ブラームスのオーボエ協奏曲」なんて、聞いたことがありませんものね。なんと言っても、ソリストとしてこの時代の技巧に富んだ音楽を託されるには、管楽器にはちょっと荷が重いという一面があったのかもしれません。確かに、フルートなどが現代の楽器と同じような低音から高音までムラのない響きと、輝かしい音色を獲得できるようになったのはごく最近のこと、その始まりとなったベームの楽器が完成を見たのは19世紀も半ばを過ぎてからのことだったのですから。従って、本当の意味での技巧的な管楽器の協奏曲が作られるようになるのは、20世紀に入ってから、さらに、「ソリスト」として独り立ち出来る管楽器演奏家が出てくるのは、その世紀の殆ど終わりに近づいた頃だったのです。
しかし、そんな管楽器にとっては「不毛」の時代でも、確かに可能性を信じて曲を残してくれていた人はいました。このアルバムで聴くことが出来るヴィルヘルム・ベルンハルト・モリックという、手品師みたいな名前(それは「マリック」)の作曲家の作品も、そんな愛好家の渇きを癒してくれるような素晴らしいフルート協奏曲です。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を思わせるような短調の第1楽章では、デュフーの力強い低音と、揺るぎのないテクニックで、ヴァイオリンに勝るとも劣らない多彩な表現を見せてくれています。そして、何よりも美しいのが第2楽章、甘く歌われるテーマは、まさに「ロマン派」、そして、そのテーマが回想される部分のソット・ヴォーチェは絶品です。第3楽章のロンドも、3つのテーマが入り乱れて楽しませてくれます。もう一人、同じ時代のこちらはピアノ関係で有名なイグナツ・モシェレスの「コンチェルタンテ」は、ソロがオーボエとフルート、まるでヴァーグナーを思わせる半音進行の前半と、ベル・カントのオペラのような後半の対比が素敵です。いずれの曲でも、デュフーとクレインは肩の力の抜けたファンタジーあふれる音楽を聴かせてくれています。
時代的にはもう少し早くなるドメニコ・チマローザの、有名な2本のフルートのための協奏曲を、ここではフルートとオーボエの二重協奏曲として聴くことが出来ます。ソロ楽器のアンサンブルにはいささかの崩れもないのですが、この曲に関しては鈍い反応のオーケストラとも相まって、ちょっと他の2人の曲ほどの生気が感じられなかったのが、残念です。
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by jurassic_oyaji | 2005-07-02 19:54 | フルート | Comments(0)