おやぢの部屋2
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BACH/Mass in B minor
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Václav Luks/
Collegium Vocale 1704
Collegium 1704
ACCENT/ACC 24283




今や、各方面から注目を集めているチェコの新進ピリオド・アンサンブル「コレギウム1704」は、このACCENTレーベルからも、すでにゼレンカのアルバムを2枚出していましたが、今回晴れて大バッハの「ロ短調」を世に問うことになりました。
1970年生まれの指揮者、チェンバロ奏者、そしてホルン奏者でもあるチェコの俊英、ヴァーツラフ・ルクス(写真ではなかなかのルックス)が1991年に創設したピリオド・アンサンブルが、この「コレギウム1704」です。「1704」というのは、ゼレンカの最初の作品(「Via Laureata ZWV 245」という学校劇で、楽譜は消失)が作られた年、1704年にちなんでいるのでしょう。それは、彼らのFacebookページのプロフィール写真がその台本の一部から取られていることから推測されます。
ただ、創設当初はルクス本人もベルリン古楽アカデミーの首席ホルン奏者として多忙だったようで、常設の団体ではありませんでした。本格的にフルタイムの活動が始まるのは、ルクスがチェコに戻って来た2005年のこと、同時に声楽部門の「コレギウム・ヴォカーレ1704」も設立され、双方の指揮をルクスが務めることになります。
この録音での編成は、ヴァイオリンだけでも10人という、たっぷりとしたもの、もはや「1パート1人」などというギスギスしたものは、一時の流行として今では廃れてしまっているのだと思いたいものです。合唱も21人と、余裕のある人数ですが、これは適宜「ソリ」と「リピエーノ」を使い分けて、表現に幅を持たせています。ただ、アリアのソロなどは、その「ソリ」の人たちも歌いますが、合唱には参加しない専用のメンバーも3人いて、声楽陣はトータルで24人ということになりますね。
なにしろ、とても若々しい、きびきびとした演奏には、たちどころに虜になってしまいます。「Kyrie」の序奏がリピエーノのたっぷりとした響きで歌われた後、フーガからはソリの登場ですが、その先頭を担うテナーのヴァーツラフ・チジェクの伸びのある声は、まさにこの演奏全体の爽やかさを象徴しているのではないでしょうか。もう一人、こちらはコーラスもソロも歌っているソプラノのナハ・ブラシコヴァーの澄みきった声もとことん魅力的です。次の「Christe eleison」でのデュエットでの、第2ソプラノとのハーモニーも完璧です。コーラス全体は、この二人の音色に支配されていて、なんともピュアな美しさを聴かせてくれます。そこへ持ってきて、ルクスの作る音楽がとても軽やか、軽快なテンポに乗ってサクサクと進んでいきます。
実際、例えば2番目の「Kyrie」などは、ちょっと他ではお目にかかれないような速さです。常々、この曲のテーマはなんとも優柔不断なものに感じられて、しかもそれをことさらゆっくり演奏される場面が多いものですから、ちょっと聴いていて辛くなるような印象があったのですが、今回はそんなイメージが見事に拭い去られていましたよ。こういう演奏なら、バッハが重々しくてとっつきにくいなどとは誰も感じることはないでしょう。
ですから、「Gloria」の最後の「Cum Sancto Spiritu」などは超快速過ぎて、歌もオケもついていけないほどですが、それは勢いの余りということで許せます。同じように「Sanctus」の速さも群を抜いています。演奏時間は3分51秒、手元にある30種類ほどの演奏の中で、4分を切るのはこれだけです(一番遅いのはクレンペラーの6分12秒)。
その上に、合唱には加わっていない、元ウィーン少年合唱団のスター、テリー・ヴァイのアルト・ソロで歌われる「Agnus Dei」などは、テンポをぐっと押さえてしっとりと聴かせています。そんなコントラストも見せつつの快演、これは素晴らしい「ロ短調」です。
それを伝えてくれる録音も、とびきりの瑞々しさです。録音スタッフは、と見ると、担当したのはTRITONUS、ノイブロンナー自身がプロデューサーも務めていますからそれも納得です。声も楽器も、しっかりとした芯のある音で伝わってくる素晴らしい録音です。

CD Artwork © Note 1 Music GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-03-27 20:22 | 合唱 | Comments(0)