おやぢの部屋2
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L'après-midi des flûtes
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Andreas Blau/
Die 14 Berliner Flötisten
MDG/308 1811-2




ベルリン・フィル、ベルリン・シュターツカペレ、ベルリン・ドイツ交響楽団、ベルリン・ドイツオペラ管弦楽団、ベルリン放送交響楽団といったベルリンのオーケストラの団員や、ベルリンを拠点に活動しているフリーランスのフルーティストなどが集まって1996年に結成されたのが、「14人のベルリンのフルーティストたち」という団体です。ベルリン・フィルの首席奏者を45年間も務め、今シーズンで定年を迎えるアンドレアス・ブラウを芸術監督として、ある程度固定されたメンバーが参加しているようで、これまでに何枚かのアルバムを出しています。名前の通り、彼らは基本的に「14人」という編成のフルートアンサンブルのために編曲された作品を演奏しているようです。
その14本のフルートの内訳は、半数はC管フルートとピッコロ(C管の1オクターブ上)という、ごく普通にオーケストラで使われている楽器と、アルト・フルート(C管の4度下のG管)というあると便利な楽器ですが、残りのメンバーはF管のソプラノ・フルート(C管の4度上)、バス・フルート(C管の1オクターブ下)、F管のバス・フルート(そのさらに5度下)、コントラバス・フルート(バス・フルートの1オクターブ下)、ダブルコントラバス・フルート(コントラバス・フルートの1オクターブ下)という珍しい楽器を演奏しています。ピッコロの最高音はピアノの最高音を少し超えますし、ダブルコントラバス・フルートの最低音は、4弦のコントラバスよりも低くなっていますから、アンサンブル全体の音域は7オクターブ、これは、フル・オーケストラの音域に匹敵します。

その最低音の楽器、ダブルコントラバス・フルート(日本のコタト製)を演奏しているのは、日本人のイイズカ・ヒコさん。これ1本あるだけで、今までフルートアンサンブルに抱いていたイメージがガラリと変わります。どんなに楽器を大きくしても、そもそもフルートの低音には限界がある、と思っていたものが、この楽器からはまるでオルガンのペダルのような、パワフルな低音が聴こえてくるのですからね。
そして、最高音を担っているピッコロには、1976年から2001年までベルリン・フィルに在籍していたヴォルフガング・デュンシェーデが控えています。その正確なピッチは今でも健在、彼によってアンサンブル全体の輪郭が、くっきりと浮き出てきます。
このアルバムのタイトル「フルートの午後」の由来となった、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」(かつてのメンバーで編曲者のヴェルナー・タストによって付けられたタイトルは「14人のための午後」)は、ブラウのソロによって始まります。そして、そのあとで原曲に現れるハープのフレーズが、何種類かのフルートだけで完璧に再現されていたのを聴く時、この編曲のセンスの良さと、このアンサンブルの合奏能力のとんでもない高さを知ることになるのです。この演奏からは、間違いなくオリジナルのオーケストラの響きが醸し出していたものと同じ世界を味わうことが出来ることでしょう。それは、ミュートを使ったホルンの音を、フラッター・タンギングで模倣したり、本物のサンバル・アンティークを手のあいたメンバーが演奏していることに加えて、なによりも全てのフルート奏者が抱いているであろう、この曲に対する愛情が、14人分まとまって迫ってきたからに違いありません。
逆の意味で、「管楽器のためのセレナーデ」というタイトルであるにもかかわらず管楽器の筆頭であるフルートが加わっていないドボルジャークの作品では、仲間外れにされるのなら、意地でもフルートだけでやってやろうじゃないか、という意気込みすら感じられないでしょうか。なぜかオリジナルに入っているチェロとコントラバスの「ソラシ♭ラソファミ」という低音のフレーズが見事に決まる様は爽快そのものです。

CD Artwork © Musikproduktion Dabringhaus und Grimm
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by jurassic_oyaji | 2014-04-02 21:09 | フルート | Comments(0)