おやぢの部屋2
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BACH/Markus-Passion
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Veronika Winter(Sop), Anne Bierwirth(Alt)
Achim Kleinlein(Ten), Albrecht Pöhl, Michael Jäckel(Bas) Jörg Breiding/
Knabenchor Hannover
Hannoversche Hofkapelle
RONDEAU/ROP7015/16




NMLを検索していたら、たまたまこんなCDを見つけてしまいました。バッハの「マルコ受難曲」です。ジャケットの画像を見ると、「Reconstruction Simon Heighes」とありますから、以前こちらの中で紹介していたグッドマン盤以来の、「サイモン・ヘイズ版」が登場したということなのでしょう。ただ、今のところ販売の案内が見当たらないので、もしかしたら国内ではすぐには購入できないものなのかもしれません。代理店が怠慢だと、こんなことがよく起こります。あてに出来ないものを待つよりもと、こちらで全部聴いてしまいました。これで、顧客を1人逃したことになりますね。
ご存知のように、バッハがライプツィヒでのカントル在職中に作った受難曲は、全部で5曲あると考えられていますが、楽譜が現存しているのは「マタイ」と「ヨハネ」の2曲しかありません。残りは楽譜がなくなってしまったという、何とももったいない話なのですよ。「マルコ」の場合は、確かに1731年3月23日の聖金曜日に演奏されたという記録はあり、「マタイ」などでアリアの歌詞を作ったピカンダーによるテキストも残っています。さらに、他の作品から(へ)の転用が行われていた、という研究もあり、それをもとにして曲を修復することも可能です。ヘイズ版では、カンタータ198番から、最初と最後の合唱と、3曲のアリアを転用、その他にカンタータ54番のアリアと「ヨハネ」の第2稿で新たに挿入されたソプラノのコラールが入ったバスのアリアなどがやはり転用されています。
そして、こればっかりはオリジナルなので他のバッハの作品からの転用は難しい福音書のテキストによるレシタティーヴォ・セッコや群衆の合唱は、先ほどのラインハルト・カイザーの作品から転用している、とされています。ただ、この点に関しては大筋ではそういうことなのですが、実際に比較してみると同じものも有るし、違っているところもかなりあります。そもそも、カイザーでは物語のスタート地点が同じ福音書でもバッハより後の部分からなので、それより前の部分は別に用意しなければいけません。それと、やはりカイザーの作風はいくらなんでもバッハの代用にするにはあまりにも違い過ぎる、という部分が、特に合唱では多く見られますから、そこも別なものを持ってこなければいけません。そんなわけで、ヘイズの仕事はかなり大変なものだったことが分かります。ですから、あくまで一つの可能性として作られたもので、決して実存していなかった架空のバッハ作品ではありますが、これはこれでかなり「バッハらしい」受難曲には仕上がっているのですね。この修復が完成したのは1995年ですが、翌年にはさっきのグッドマンによって、初めて録音も行われましたし。
しかし、バッハの本場ドイツでは、「転用」や「修正」によって出来上がったこの楽譜は「ばっからしい」と無視されてしまったのかどうかは分かりませんが、今までこの修復稿を取り上げる人はだれもいませんでした。それが、なぜか去年の聖金曜日の周辺に演奏されることになりました。その模様は、NDR(北ドイツ放送)でもラジオで生中継されるほどの盛り上がりよう、いったい何があったというのでしょう。それはともかく、それに先立って録音されたのがこのCDです。
歌っているのはハノーファー少年合唱団です。「少年」とは言ってもそれはトレブル・パートだけで、男声パートは青少年が担当していますし、一部の人はレシタティーヴォの中のソロまで歌っていますから、かなりの高水準の合唱団です。多少不安定なところもありますが、コラールなどはとても美しく響いてきます。ソリストは、極力ソフトな歌い方の人たちが集められているようで、エヴァンゲリストやイエスはとことんユルめ、そんな中で、アルトのビーアヴィルトのまるで少年のような声は、合唱との見事なマッチングを見せています。
しかし、ジャケットのイエスの胸のエロいこと。

CD Artwork © Rondeau Production
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by jurassic_oyaji | 2014-04-16 21:20 | 合唱 | Comments(0)