おやぢの部屋2
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BRUNEAU/Requiem
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Mireille Delunsch(Sop), Nora Gubisch(MS)
Edgaras Montvidas(Ten), Jérôme Vanier(Bas)
Ludovic Morlet/
Children Chorus of La Monnaie, Vlaams Radio Koor
Symphony Orchestra and Chorus of La Monnaie
CYPRES/CYP7615




現在では全く忘れ去られていますが、アルフレッド・ブリュノー(1857-1934)という女子の体操着みたいな名前(それは「ブルマー」)のフランスの作曲家は、エミール・ゾラと親交のあった人で、彼の台本などを用いた多くのオペラを作っています。そして彼は、「レクイエム」も作っていることから、このサイトでも取り上げられるようになるのです。
実は、この曲は2001年の1月に、すでにこちらで紹介されていました。つまり、「レクイエム」に関しては今までに録音されたものはほとんど網羅されているというこちらの井上太郎さんの本で最初の録音のものとして紹介されていたのを頼りに、たまたま再発されたものを聴いてみたのですね。このレビューを読んでいただければ分かる通り、その時の印象は決して芳しいものではありませんでした。井上さんの本でも、おそらくこの録音を聴いた上でのことでしょう、「音楽の骨格そのものの脆弱さは覆うべくもなく、旋律も陳腐」と、まさにぼろくそに言われてましたね。
何しろ、その録音での指揮者のメルシエは、初めて聴いた人にあたかも作品そのものが悪いかのように感じさせる演奏をすることでは定評のある人でしたから、もしかしたら他の指揮者で聴けばそんなにひどい曲だとは思えなくなるような可能性は充分あり得ます。今回、2012年にブリュッセルでライブ録音されたこの新しいCDでは、そんな悪い印象を拭い去ることはできるのでしょうか。
Requiem & Kyrie」の最初に示されるテーマは、なかなかキャッチーなものでした。いかにもオペラ作曲家らしく、そこでは情景が的確に表現されていることがすぐに感じられます。しかし、続いて現れる合唱の無気力さには、一瞬たじろいでしまいます。そのあとのソリストたちによるポリフォニックなパッセージも、何かピリッとしたところがなく前途には暗雲が立ち込めます。しかし、音楽全体の持つまさにオペラティックな運びには、何か引き込まれるものも有ります。
次の「Dies Irae & Tuba Mirum」になると、そのダイナミックな音楽には文句なしに惹かれます。お約束のグレゴリアン・チャントの「Dies irae」がハープとトランペットによって登場しますが、それが児童合唱によって繰り返されると、思わずその敬虔な響きに聴き入らずにはいられなくなってしまいます。そんな、起伏の激しい音楽がまさにドラマティックに展開されていると感じられるようになってくるのは、そろそろこの作品の魅力に気づいてきたからなのかもしれません。この児童合唱の出番はこの後も控えていますが、それはまさにこの作品のポイントとなっています。
そうなのです。確かにあざといところもありますし、構成に弱さが感じられなくもありませんが、これはそういう音楽、言ってみればあふれるばかりの情感を、多少無秩序に語っているだけのことで、それによって音楽そのものの価値が損なわれるものではなかったのです。やはり、ヘタをしたら、メルシエの演奏だけでこのままこの作品がつまらないものだと評価されて終わってしまうところでしたね。
Sanctus」のテーマはマーラーの交響曲第1番の終楽章にそっくりですが、作られたのはこちらの方が先ですし、「Agnus Dei」ではなんとロイド・ウェッバーの「オペラ座の怪人」の中のナンバーのようなものが現れます。ある意味そんな「先駆性」さえも備えた、なかなか隅に置けない作品とは言えないでしょうか。最後の「Et Lux Perpetua」で第1曲目のテーマが再現されるあたりも、しっかりとツボを押さえている感じがしませんか?
これだけだと40分しかないので、カップリングとしてマリウス・コンスタンが編曲したドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」が、別の会場で演奏された時のライブ録音が入っています。これが前の曲とは全然違って素晴らしい音、「レクイエム」がこの音で聴けていたら、その魅力はさらに増していたことでしょう。

CD Artwork © Cypres Records
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by jurassic_oyaji | 2014-04-22 23:13 | 合唱 | Comments(0)