おやぢの部屋2
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The Rite of Spring
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The 5 Browns
STEINWAY & SONS/30031




先日、さる合唱団のコンサートでブラームスの「ドイツ・レクイエム」を2台ピアノによるバージョンで聴きました。それは本当に素晴らしい合唱だったのですが、その時のピアノのアインザッツが非常におおらかだったのには参ってしまいました。実は、だいぶ前ですが、マルタ・アルゲリッチとネルソン・フレイレによるデュオをテレビで見たことがあったのですが、その時には、このブラームスよりもっとひどいアンサンブルでしたから、そもそもこういう編成でピッタリ合わせることなどは至難の業なのだな、と思っていました。
ですから、もう10年近く前に騒がれた、なんと「5人」のピアニストのユニット「ザ・ファイブ・ブラウンズ」などは、最初から聴く気にもなれませんでした。そもそも、彼らが日本で紹介された時には、いわゆる「ライト・クラシック」という忌むべきカテゴリーでの売り込みでしたからね。
この5人のピアニストは、ブラウン家の女3人、男2人の5人の子供たちです。最年長はジャケ写右から2人目の1979年生まれの長女、末っ子は右端、1986年生まれの次男ですね。全員がジュリアード音楽院を卒業、2002年にチームを組んで初めてのコンサートを開き、大成功をおさめます。アルバム・デビューは2005年、RCAからの「The 5 Browns」という、バーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」などが収められたCDでした。それはビルボードのクラシック・チャートの1位を占め、2008年までに全部で4枚のアルバムをRCA/SONYからリリースします。2010年には、E1 Entertainmentという、以前はカナダのKochだったレーベルに移籍しての映画音楽集、そして昨年10月、彼らがアーティスト契約を結んでいるスタインウェイのレーベルからこんなタイトルのアルバムがリリースされました。
これは、2013年5月に行われたコンサートのライブ録音です。ですから、メンバーも全員「アラサー」を迎えていたことになりますね。それにしてはみんな若い!真ん中の次女などは、ほとんどヤンキーですね。
タイトルは「春の祭典」ですが、演奏はまずホルストの「惑星」から始まります。その1曲目、「火星」が始まった時、その5台のピアノの音がまるで一人で弾いているように完全に「合って」いたのには驚いてしまいました。もうこれだけでほとんど信じられないものを聴いていしまった思い、圧倒されてしまいます。2人でも合わないものが、5人でこれほどまでに揃っているとは。やればできるものなんですね。というか、陳腐な言い方ですが、これが「血の絆」ってやつなのでしょう。
もちろん、それは単にきれいに合っているというだけのものではありませんでした。原曲をかなり自由にアレンジして、聴いたことのないようなフレーズがあちこちで絡み付いてきますが、そのどれもがとても生き生きしていて、本当に楽しんで演奏していることが伝わってきます。
そのあと、曲は切れ目なく最後の「海王星」に続きます。と、なんだかピアノとは思えないような音が聴こえてきましたよ。なんかキンキンした、プリペアされた音、瞬時に弦になにかを乗せたのか、手で触っているのか、こんな小技もきかしているんですね。いや、それだけではなく、最後に出てくる女声合唱まで、誰かが歌っていますよ。曲はそのあとに「木星」に続くという仕掛け、やはり聴かせるツボは押さえています。
そして、サン・サーンスの「死の舞踏」を挟んで、いよいよ「春の祭典」です。2台ピアノのバージョンは何度か聴いたことがありますが、これは「5台」という条件を目いっぱい生かした、とてもいかした編曲が素敵です。全員でガンガン弾く時にはオーケストラをもしのぐほどの大音響、そして、多くのパートが絡み付くところでは煌めくばかりの色彩感、弾き終わった時の会場のやんやの喝采も納得です。いや、すでに第1部の終わり近くで、待ちきれず歓声を上げていた人もいましたね。

CD Artwork © ArkivMusic LLC
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by jurassic_oyaji | 2014-04-24 20:20 | ピアノ | Comments(0)