おやぢの部屋2
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BACH/Matthäus-Passion
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Julian Prégardien(Ev), Karl-Magnus
Fredriksson(Je)
Karina Gauvin(Sop), Gerhild Romberger(MS)
Maximilian Schmitt(Ten), Michael Nagy(Bas)
Peter Dijkstra/
Chor der Bayerischen Rundfunks
Regensburger Domspatzen(by Roland Büchner)
Concerto Köln
BR/900508(CD), 900509(DVD)




ペーター・ダイクストラは、バイエルン放送合唱団を率いてかつて2009年にBRレーベルから「マタイ」のCDを出していました。しかし、それは全曲をそのままCDにしたものではなく、おそらく元はラジオの番組だったものなのでしょう、メインはマタイ受難曲に関する解説の朗読で、その「参考音源」として、彼らが過去に演奏していたものが使われていた、というものなのでした。このCDを見つけたときには、「ダイクストラくんはもう『マタイ』の全曲を録音させてもらったのだ」と驚いたものですが、実態はそんなものだったのです。
とは言っても、ここで使われた音源の元となったコンサートは実際に行われていたわけですから、もちろんすでに彼のレパートリーにはなっていたのでしょう。ただ、ここでのオーケストラはバイエルン放送交響楽団というモダン・オーケストラでした。
その後、ダイクストラはしっかりとバッハの大規模な作品のライブ録音のCDDVDを出すようになります。その時には「クリスマス・オラトリオ」(2010年)ではベルリン古楽アカデミー、「マニフィカート」(2011年)ではコンチェルト・ケルンと、ピリオド楽器のオーケストラと共演するようになっていました。そして、まさに「リベンジ」たる今回2013年の「マタイ」のパートナーは、またいつものコンチェルト・ケルンです。
かつてはSACDを出していたこともあったこのレーベルも、最近はCDでのリリースしかなくなってしまいましたが、この録音に関しては同時にDVDも発売になっていました。BDであればもっと良かったのですが、まあ画面については目をつぶるとして、音声は確実にハイレゾになっているはずですので、CDと比較する意味でも聴き比べる価値はあると、両方入手してみました。
予想通り、DVDの音はCDとは比較にならないほどのすばらしいものでした。変なたとえですがDVDの音をBDの画面だとすると、CDの音はまるでDVDの画面のようなものですね。音の解像度の違いがはっきり聴いて分かるのですからね。おそらく、CDだけを聴いていたのでは演奏の印象まで全く別物のように感じられてしまうかもしれません。
オーケストラは弦楽器の人数がかなり多く、あまり「ピリオド」っぽいストイックなサウンドではありません。おそらく、ダイクストラは「モダン」とほとんど変わらないアプローチで、オーケストラに接しているのではないでしょうか。フレージングはたっぷりしてますし、極端なダイナミックスの変化もありませんから、何のストレスも感じることなく柔らかな響きに浸ることが出来るはずです。これは、ある意味「ロマンティック」なスタイルの演奏です。
おそらく、プレーヤーたちも、そんなスタイルを自発的に取り入れているのかもしれません。例えば、42番のバスのアリア「Gebt mir meinen Jesum wieder」では、第2コーラスの弦楽合奏にコンサートマスターの超絶技巧のソロが入るのですが、それを演奏している日本人の平崎真弓さんは、いとも表情豊かなヴァイオリンを聴かせてくれています。
歌のソリストたちも、かなり情熱的な歌い方、メゾの人はそれでちょっとリズムが重くなって自滅していますが、ソプラノのゴーヴァンはそのあたりの絶妙なバランスの中で、49番のアリア「Aus Liebe will mein Heiland sterben」を素晴らしく歌い上げています。そして、なんと言ってもこの曲をドラマティックに仕上げる役割を見事に果たしているのが、福音史家の若きテノール、ジュリアン・プレガルディエンでしょう。すでに「ヨハネ」の録音も行っている、まさに上り坂の成長株です。
合唱は、最初のうちはそんな「ロマンティック」な流れでおとなしかったものが、曲の終わりに近づくにつれてどんどん表現の幅が広がり、思わず引き込まれてしまうのは、ライブ録音のなせる業でしょう。ピアニシモで歌われる受難のコラール(62番)などは、背筋が凍るほどの凄さです。

CD & DVD Artwork © BRmedia Service GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-04-28 21:48 | 合唱 | Comments(2)
Commented by tempus fugit at 2014-05-12 23:06 x
ダイクストラの「マタイ」、全編がネットで視聴でき(DVDと同じ映像・音だとしてですが)私も感銘を受けました。そのあと調べたらこちらを見つけましてやってきた次第です。

「マタイ」の録音は、ヤーコプスやクイケンと、近年私にとって「当たり」続きだったのですが、モダン寄りのこのダイクストラもすばらしく、62番のコラールは私も涙腺が緩みそうになりました。

残念なのは映像で、カメラに制約があったのか、制作者がストイックな人だったのか、同じようなアングルやサイズの繰り返しで正直3時間は厳しかったです。

それでも、DVDはCDより音がいいということですので、購入を検討しようと思いました(でも映像はOFFかなあ)。

なお、「レコード芸術」の「佐村河内」についてのエントリも拝読しました。小生、今回の特集に呆れて某オンライン書店にコメントを書いたのですが、その後、佐村河内のコラムにも呆れたのでコメントに追記してしまいました。「ちょっと厳しすぎたかな?」とも思ったのですが、貴エントリを読ませていただき、まだ甘いくらいだなと考えなおした次第です。
Commented by jurassic_oyaji at 2014-05-13 22:55
tempus fugitさん、コメントありがとうございました。
私のエントリーは自分でも過激だと思っていますから、あまり参考にはなさらないでください。
ダイクストラのDVDには、コンサートの映像だけではなく、受難の絵画がかなり挿入されていましたね。