おやぢの部屋2
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RAVEL/Ma Mére l'Oye, MUSORGSKY/RAVEL/Pictures at an Exhibition
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Jos van Immerseel/
Anima Eterna Brugge
ZIGZAG/ZZT343




てっきり「展覧会の絵」から始まるものだと思ってCDをスタートさせたら、あのかっこいい「プロムナード」のファンファーレではなく、なんかイジイジした音楽が始まったので、一瞬CDを間違えたと思ってしまいましたよ。ジャケットをよく見たら、まずカップリングの「マ・メール・ロワ」から始まっていたのですね。そこでハタと気が付いたのは、このアルバムは「ムソルグスキー」ではなく、「ラヴェル」の音楽を集めたものだ、ということでした。まず、「マ・メール・ロワ」でたっぷりラヴェルのエッセンスを味わったあとで、そのラヴェルがロシアの音楽を編曲したものを聴いてもらおうという趣旨だったのだ、と、勝手に想像しておきましょう。
今回のアニマ・エテルナ・ブルージュの弦楽器の編成は、彼らとしては普通のサイズの8.8.7.6.5というものでした。これは、「マ・メール・ロワ」を演奏する分には、それほど少ないとは思えません。木管楽器のソリストたちが、いかにも鄙びた音色と、ちょっと野暮ったい奏法を駆使して、それぞれのキャラクターを際立たせ、まるで室内楽のようにフレンドリーな演奏を聴かせてくれています。
しかし、最後の「妖精の庭」になったら、まるでフル・オーケストラのような壮大なサウンドが聴こえてきたのは、録音会場の残響と、TRITONUSによる卓越した録音のせいなのでしょう。つまり、このような「魔法」によって、現在ではこの倍近くの弦楽器を備えたオーケストラによって演奏されることの多い「展覧会の絵」でも、おそらく初演当時のサイズでも充分にそのスケールの大きな響きを出せることを実証させたかったのかもしれません。
メインの「展覧会の絵」では、そのファンファーレはちっとも「かっこよく」ありませんでした。それは、今まで聴いたこともなかったような「表情豊か」なものだったのです。もちろん、この部分をクレッシェンドとディミヌエンドを駆使し、きちんとフレージングを施して、「表情豊か」に演奏したって、ちっとも面白くないのは明白です。はっきり言ってこれは「軟弱」の極み(なんじゃ、こりゃ)、ムソルグスキーがこのテーマに込めたであろうロシア的なテイストは、このやり方では全く失われてしまっているのです。
つまり、これはインマゼールによるまさに「確信犯」的なやり方、この作品を最初からラヴェルが作っていたらこんな風になるんだぞ、という、まさに「ラヴェル作曲:展覧会の絵」を具現化したものだ、とは言えないでしょうか。そう思って聴いてみると、これはなかなか興味深いものになってきます。たとえば、「グノームス」での木管の下降音のモティーフと同じものが、そのあと弦楽器のグリッサンドの中でチェレスタによって奏されるというほとんど冗談としか聴こえないような部分では、このオーケストレーションが見事に「おフランス風」に存在感を主張するのを確かめることが出来るのです。そのフレーズの最後を飾るハープの装飾音の、なんと優雅なことでしょう。余談ですが、先日耳にしたさるアマチュア・オーケストラの演奏で、この部分をまさに「ロシア的」に乱暴に扱っていたハーピストのセンスの、これはまさに対極に位置するものです。
もう1ヶ所の「おフランス」は、「サムエル・ゴルデンベルク」。特に、「お金持ち」の部分でのユニゾンが、なんとも優柔不断な独特のリズム感に支配されているのがたまりません。途中でポルタメントまで加わりますからね。「カタコンベ」あたりも、金管の粘っこいアンサンブルは、ちょっと得難い風情です。
とは言っても、最後の「キエフ」だけは、いくらなんでもガンガンに盛り上がらないわけにはいきません。総勢6人の打楽器奏者による目いっぱいの炸裂では、さっきの「マ・メール・ロワ」をしのぐほどの高揚感を味わえますよ。

CD Artwork © OUTHERE MUSIC FRANCE
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by jurassic_oyaji | 2014-04-30 19:50 | オーケストラ | Comments(0)