おやぢの部屋2
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DOPPLER/Con Bravura
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Walter Auer(Fl)
Karl-Heinz Schütz(Fl)
Christoph Traxler(Pf)
TUDOR/7174




「コン・ブラヴーラ」というのは、「華麗な技巧をもって」という意味のイタリア語です。海産物が愛し合うことではありません(それは「昆布ラヴ」)。そして、実際にこういうタイトルの曲が演奏されているわけでもありません。フルート愛好家にはお馴染みのドップラー兄弟のレパートリーは、お兄さんのフランツが作ったにせよ、二人で共作したにせよ、とにかくフルートの持つ技巧をフル稼働させて華麗に決める、という意味が、ここには込められているのでしょう。
そんな曲を演奏するのに最もふさわしい、「世界最高のオーケストラ」であるウィーン・フィルの首席フルート奏者が二人集まった、というのが、このCDの最大の魅力になっているはずです。それは、このオーケストラの中ではまだまだ「若手」の、1971年生まれのワルター・アウアーと、1975年生まれのカール=ハインツ・シュッツの二人です。ただ、厳密にはシュッツはまだ「フィルハーモニー会員」にはなっていないようなので、「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」の団員ではありますが、「ウィーン・フィル」の正式団員ではないということになります。まあそれは単に形式的なこと、シュッツはいずれ間違いなく正式団員になるに決まってます。
このCDでは、どの曲でどちらがどのパートを吹いているかが、きちんと表示されています。ですから、最初の、ドップラーのデュエットでは最も有名な「アンダンテとロンド」ではアウアーが1番、シュッツは2番と書いてありますから、ピアノの前奏が終わって右のスピーカーから聴こえて来たフルートがシュッツであることが分かります。この曲では、まず2番のソロで始まることになっていますからね。それは、まさに「2番」ならではの、低い音域で奏されるフレーズだったのですが、その滑らかな音には思わず耳をそばだててしまいます。彼の音はこちらですでに聴いていましたが、その時の印象と変わらない、地に足のついた伸びやかな、とても魅力的な音でした。
そして、「1番」のアウアーの登場です。おそらく、別々にこの二人を聴いたのでは気付かないかもしれませんが、このように並べられると、その音の違いはとてもよく分かります。アウアーの音は、幾分くすんでいて、シュッツほどの艶やかさがないのですね。ピッチもほんのわずかですが、不安定なところもあります。彼も、やはり以前こちらで聴いていましたが、その時にもなんとなくそんな印象を持っていたことを思い出しました。
その次の「ヴァルス・ディ・ブラヴーラ」では、二人のパートが入れ替わります。そうすると、アンサンブル全体の音色が今までとガラッと変わってしまいました。伸びのある音のシュッツが高い音域を担当すると、こういうことになるのですね。もう、それははっきりとした違い、まだシュッツがオーケストラの中で吹いているところを聴いたことがありませんが、彼はこれからのウィーン・フィルの音色を変えてしまうかもしれませんね。
しかし、この二人のアンサンブルは、舌を巻くほどの素晴らしさです。どんな細かいところでもピッタリと表情を合わせているのですから、もう信じられないものを聴く思いです。それがあまりにも完璧なために、逆にドップラーの作品の弱さが表面に出てきてしまう、という皮肉なことも起こります。これだけのスキルを、こんなつまらないところに浪費してどうするの?みたいな気持ちにさせる二人の演奏は、ある意味残酷です。

まるでNAXOSのように、ブックレットのパート表記が、ちょっとおかしなことになっています。これだと、トラック14から16の「リゴレット・ファンタジー」は二人とも1番になってしまいますが、これはアウアーが1番、そして、最後の「アメリカのモティーフによるデュエッティーノ」(トラック17+18)ではシュッツが1番です。ここでは、「ヤンキー・ドゥードゥル」の部分でピッコロに持ちかえて、軽快に迫っていますよ。

CD Artwork © Tudor Recording AG
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by jurassic_oyaji | 2014-05-04 20:37 | フルート | Comments(0)