おやぢの部屋2
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Stravinsky Memorial Concert
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Michel Béroff(Pf)
Leonard Bernstein/
The English Bach Festival Chorus
London Symphony Orchestra
ICA/ICAD 5124(DVD)




歴史的な放送素材からの音源や映像を「First CD(DVD) Release」という大袈裟な見出しを付けて続々と世に送り出しているICAの新譜は、1972年の4月8日に行われた「ストラヴィンスキー没後1周年記念コンサート」のDVDです。ストラヴィンスキーが88歳でこの世を去ったのは1971年4月6日ですから、この日は「命日」とはちょっとずれていますが、木曜日の平日である6日を避けて、土曜日の8日にしたのでしょう。なんたって、会場はあの馬鹿でかいロイヤル・アルバート・ホールですから、集客的にもベターでしょうし、係員のアルバイトも集めやすいでしょうからね。
ここでバーンスタインとロンドン交響楽団が演奏しているのは、「春の祭典」、当時21歳のミシェル・ベロフ(帯に「22歳」とあるのは間違い)のピアノを加えた「カプリッチョ」、そしてイギリス・バッハ・フェスティバル合唱団を迎えての「詩編交響曲」です。
このメンバーでの「春の祭典」の映像としては、こちら1966年に収録されたものがありましたが、それはもちろん白黒、しかし、今回はしっかり「カラー」で撮られています。この鮮やかな、いや、鮮やかすぎる色調には、1966年の映像に比べるとまさに今昔の感があります。
そして、映像監督は前と同じハンフリー・バートンなのですが、ここではカット割りなどずいぶん変わっているように思えます。バーンスタイン自身の姿を追い続けるカットはかなり少なくなり、その代わりにソロ楽器のアップがあちこちで見られます。それが、「春の祭典」の場合は、その時に最も重要な楽器が、必ずアップになって登場するという分かりやすさです。アルト・フルートやバス・クラリネットといった珍しい楽器が、いかにこの曲では活躍しているかが良く分かりますし、もしかしたらワーグナー・チューバが使われていたことを、この映像を見て初めて気付く人がいるかもしれませんね。
そして、音も、そんな細かい楽器の生音がくっきり聴こえてくるような、まさに画面とシンクロしたものでした。もちろん、この時代の映像の音声はまだモノでしたが、マイクだけはたくさん使っているようですから、おそらくバートンの指示で、かなりバランスを調整していたのではないかという気がします。そして、今回のDVD化に際しては、わざわざ「Enhanced Mono」という言葉がクレジットされていますから、何らかの補正があったことは間違いないでしょう。それによって全体の豊かな響きはちょっと損なわれてしまっています。というか、この時代の映像の音声は、同じ頃の音声だけのメディア(LPレコードなど)に比べたらはるかに劣っていたことが再確認できます。それが、現在ではその立場は逆転しているのですから、皮肉なものです。
映像も、DVD化に当たっては、おそらくかなりの修復が加えられているのでしょう。その結果「春の祭典」ではこんな不思議なカットを目にすることになりました。


なぜか、指揮台の脇に電話機が。

同じアングルで撮られたどのカットでも、「電話機」なんかありませんし、良く見るとチェロの楽譜の位置が少し違っていますから、このカットだけが差し替えられたものなのでしょう。リハーサルの時とか。しかし、普通リハーサルでは正装はしないものですがね。
「詩篇交響曲」の場合は、完全に修復出来ないカットがあったのでしょう。何か所かで静止画像が差し込まれているところがありました(音声は無事だったようです)。その画像が、バーンスタインが使ったスコアだというのは、ある意味うれしい配慮ではありますが。
この曲の最後、つまり、コンサートの最後で、バーンスタインは会場の拍手を制止して退場します。それはおそらく、この曲の中に作曲家への追悼の意味を込めたというメッセージだったのでしょう。このあたりが、この映像の「記録」としての重みです。ただ、この後もう指揮者はステージには戻ってこないままコンサートは終わったのか、あるいは改めてきちんと拍手を受けたのか、出来ればそこまできちんと伝えて欲しかったものです。

DVD Arteork © International Classical Artists Ltd
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by jurassic_oyaji | 2014-05-10 21:27 | オーケストラ | Comments(0)