おやぢの部屋2
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MOUSSOUGSKY/Pictures at an Exhibition
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Fritz Reiner/
Chicago Symphony Orchestra
ANALOGUE PRODUCTIONS/LSC 2201(LP)




先日SACDで聴いたRCAによる1957年録音の「展覧会の絵」のLPバージョンです。
SACD同様、オリジナルの録音データなどは一切記載されていない、1958年にリリースされたものと全く同じジャケットとライナーノーツのLPは、「LSC 2201」という品番まで、全く同じという凝りようでした。いや、そう言えばSACDの品番も、番号だけは全く同じでしたね。なんと言っても、このデザインはLPサイズになってこそのものだと思えるのは、「LIVING STEREO」のロゴの部分です。いかにも「ステレオ」を「具体化」した、左右のスピーカーから赤、青、黄色の矢印が無数に飛び出してくるというデザインです。これが、LP(上)ではきちんとすべての矢印が見えるのに、SACDのジャケット(下)では、製版の際のちょっとした加減で、ある色の矢印がなくなっていますからね。


このカラフルなロゴは、しかし、記憶の中には少し安っぽいものとして残っています。ステレオ・レコードの黎明期には、再生装置も大々的に売り出されていましたが、多くのメーカーが提供していたのは「アンサンブル・ステレオ」という一体型のタイプでした。

しかし、それは今思えば「オーディオ」には程遠いものでした。もちろん、スピーカーもその中に入っていますから、そのサイズでは適切な音場感を得ることはまず不可能です。一番お粗末なのはレコード・プレーヤー。その当時はまだ使われていたSPとの互換性を図るために、針先はSP用とLP用を回転させて切り替えます。カートリッジは圧電素子かなんかの、恐ろしく再生レンジの狭いタイプ、針圧もやたら重くて、まさに音溝を「削る」ほどのものです。そして、情けなさの極めつけは、ターンテーブル。直径が7インチしかありませんから、シングル盤ならいざ知らず、LPでははみ出してしまいます。中には奥行きが足らず、ふたを閉めると後ろの穴からLPが外にはみ出すものも有りました。
昔、実家で買ったステレオが、まさにそんな安物でした。それはビクター製。その時におまけとして付いてきたのが、このロゴが入ったRCAのステレオ音源によるデモLP(もしかしたら7インチのEP)でした。初めて聴いた「ステレオ」の音は、とてもきらびやかで圧倒的なものでした。でも、それはどこか偽物っぽい胡散臭さも感じられるものでもありました。というか、そんな安っぽい音にも感動してしまった自分が許せないような、かなり屈折した思いとともに、この「LIVING STEREO」の画像が刷り込まれているのですね。
それから半世紀近く経って、よもや、このロゴの付いたLPに、本当の意味で「感動」させられる時代が来ようとは、思いもよらないことでした。180gの重量タイプのこのLPは、ソリの全くない完全に平らな状態であることが、まず感動を呼びます。そして聴こえて来たトランペットの「プロムナード」のテーマは、SACDとは別物の滑らかさをもっていました。SACDでは、音自体は素晴らしいのに、なぜか「古さ」を感じてしまうものが、LPではそれが全くないのですね。とは言っても、やはりスクラッチ・ノイズが結構聴こえるのがやや不快、とくに、静かなところで派手に聴こえるのが、かなり気になります。
ところが、B面になったら、そんなスクラッチ・ノイズがほとんどなくなりました。そうなると、ここで始まる「リモージュ」は、セッション録音としては信じられないほどのひどいアンサンブルなのですが、それすらも妙なリアリティを持ってくるのですから、不思議です。そして、驚くべきは、「死せる言葉をもって」の最後付近で静かにコントラバスが入ってくるところの音場、そこでは、はるか遠くまで広がる薄暗い世界が、しっかり感じられたのです。もちろん、その直後の「バーバ・ヤガー」でのティンパニとグランカッサのバトルや、そのあとの、魔女の鍋が泡立つ様子を描写した部分での、ピッコロに重なるチェレスタの生々しさと言ったら、到底SACDの比ではありません。

LP Artwork © Analogue Productions
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by jurassic_oyaji | 2014-05-14 21:05 | オーケストラ | Comments(0)