おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Nuria Rial(Sop), Marie-Claude Chappuis(Alt)
Christoph Prégardien(Ten), Franz-Josef Selig(Bas)
Alexander Liebreich/
Chor des Bayerischen Rundfunks(by Michael Gräser)
Münchner Kammerorchester
SONY/88765482312




レーベルはドイツのSONYですが、制作したのはミュンヘンの放送局のBR(バイエルン放送)です。201112月にヘルクレス・ザールで行われたセッション録音ですから、もともとはラジオで放送するための音源だったのでしょうね。
使われている楽譜はレヴィン版です。アバドが2012年に「レヴィン版もどき」で録音したものがすでにリリースされていましたが、録音されたのは今回のリーブライヒ盤の方が先になるのですね。なんか、録音が出るのはずいぶん久しぶりという感じがしませんか?実際のコンサートでは、最近は割と頻繁にこの版が使われているような気がしますけど。
合唱は、そのアバドの時にもスウェーデン放送合唱団と一緒に出演していたバイエルン放送合唱団ですが、今回は単独で、さらに合唱指揮もダイクストラではなくグレーザーの方でした。
オーケストラはミュンヘン室内管弦楽団、そして、2006年からこの団体の芸術監督と首席指揮者のポストにあるアレクサンダー・リーブライヒが指揮をしています。もちろんモダン・オーケストラですが、ここでは最近のモーツァルト演奏の主流になりつつある、限りなくピリオド風に近い奏法を駆使して、「オーセンティック」なスタイルを実践しています。金管楽器とティンパニは、楽器そのものがピリオドのように聴こえます。
もちろん、そのような「奏法」はオーケストラと合唱の双方に徹底されています。テンポは速め、音は短め、そしてダイナミックスは堂々と、という一般的な「三点セット」の他に、ここでは「不均一リズム」も採用されています。それはたとえば「Rex tremendae」の6小節目から始まる「付点八分音符+十六分音符」というパターンを、後ろの音符を短めにして「複付点八分音符+三十二分音符」という形で演奏するものです。それは15小節目まで続きますが、18小節目からの「Salva me」という歌詞の部分からは、楽譜通りの音価で歌うという、音楽の内容によってフレキシブルに対応されるべきものですね。こういうことをやってくれると、いかにも「オーセンティック」という味わいが加わります。
もちろん、モーツァルトの自筆稿では普通に「付点八分音符+十六分音符」で書かれていますから、これはあくまで演奏家の裁量で行うものであることは言うまでもありません。当然のことですが、ここで使われているレヴィン版にも、そのように印刷されています。

しかし、多くの修復稿の中には、この部分のいわば「即興」の演奏法を、しっかり記譜しているものも有ります。1988年のモーンダー版がその最初のものでしょう、ここではもともとなかったオーケストラのパートをしっかり「複付点」にしています。そして、合唱パートはあくまでオリジナル通りに印刷したうえで、「複付点で演奏せよ」という注釈を付けています。

もっとすごいのは、2013年のコールス版。ここでは合唱パートまでが「複付点」になっていますよ。

余談ですが、1992年のランドン版では、オーケストラはトロンボーンだけで、ティンパニがなくなっていますから、この部分がまるでア・カペラの合唱のように聴こえます。
そんな颯爽としたスタイルの演奏の中で、合唱もソリストもとてもピュアな音色とハーモニー感で素晴らしいものを聴かせてくれています。特に合唱は、いつになくしっとりとした味わいが胸を打ちます。「Lacrimosa」の最初のハーモニーの暗い肌触りは絶品です。カップリングの「Ave Verum Corpus」でも、ゆったりとしたフレージングで大人の音楽を聴くことが出来ます。
レヴィン版ならではのちょっと聴きなれないパッセージも、これ見よがしに聴かせるのではなくごく自然に扱っているのも好感が持てます。「Sanctus」のけばけばしい弦楽器のオブリガートにはいつも閉口させられますが、ここではそれほど目立って聴こえないような賢いバランスが保たれています。

CD Artwork © Sony Music Entertainment Germany GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-05-21 00:51 | 合唱 | Comments(0)