おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
オケ奏者なら知っておきたいクラシックの常識
c0039487_20384969.jpg






長岡英著
アルテスパブリッシング刊(いりぐちアルテス005)
ISBN978-4-903951-90-4



世にアマチュア・オーケストラの公式ウェブサイトというものはたくさん存在しています。そしてそれぞれは、じつに様々な形をもっています。もちろん、演奏会の案内などの活動状況の紹介などは欠かすことが出来ないものですから、まず、もれなく含まれているのでしょうが、それ以外の、団員による読み物なども加えて、バラエティ豊かに迫るものなども多く見受けられます。何を隠そう、このサイトにしてからが、そもそもの出発点はそのような、演奏会に向けて練習している曲についてのマニアックな蘊蓄を集めたものだったのですからね。ですから、この本の著者のように、アマオケの団員でそのウェブサイトに定期的に音楽に関する文章を投稿しているような人を見たりすると、なにか他人とは思えなくなってしまいます。
そう、この本の著者は、本来は音楽学者なのですが、お子さんが通う学校のオーケストラが、父兄も団員として受け入れるというところだったので、そこにヴィオラ奏者として入団し、日々のオーケストラ活動を楽しんでいるという方なのです。そんな方がサイト管理者の勧めに応じて、音楽に関するコラムを毎週公式ウェブサイトに投稿するということを3年間にわたって続けられたというのですね。その結果、180篇以上のコラムが出来上がったのだとか。こらむぁーすごいですね。
そして、その中から60篇ほどを選んで、再構成されたものが、こんな本になってしまいました。そのような、音楽的なバックボーンがしっかりしていて、なおかつオーケストラの「現場」に日々身を置いているという方の書いたものですから、これは読まないわけにはいきません。
ただ、最初にこの本のタイトル(編集者が付けた?)を見た時には、この「オケ奏者なら知っておきたい」というフレーズの中の「なら」という言い方に、ちょっと不快なものを感じてしまいました。これがたとえば「オケ奏者にとって、知っておいて役に立つ・・・」みたいな言い方だと、そんなことは全く感じたりはしなかったのでしょうが、これは本当に損をしているタイトルです。この言い方には、有無を言わせぬ強制力、言ってみれば知識の強要のようなものが感じられます。しかし、知識というものは、他人に強制されて与えられるよりは、自ら知りたいと思って身に着ける方が良いに決まってますからね。実際に読んでみると、そんな押しつけがましいところは全くない内容だったので、なんか、こんなタイトルを付けられたのがかわいそうになってきましたよ。
つまり、そんなよくある煽情的な割には中身のとことん薄いあまたのハウツー本のような先入観をもって読み始めたところ、その語り口は柔らかですし、述べられていることもいともまっとうで奥深いものだったので、かえって面喰ったというのが正直なところなのですよ。
中身がきちんとしているというのは、たとえば「モーツァルトが初めから木管4パートが2本ずつ揃った編成で作ったのは『パリ交響曲(31番)』だけ」というとんでもない事実を、いともさりげなく語る部分によって分かります。確かに、言われてみればそうでした。さらに、そんな「トリビア」であっても、いたずらにマニアックに走ってはいないことも、ベルリオーズが「幻想交響曲」で試みた「標題音楽」の先駆けとして、クネヒトではなくベートーヴェンの例を挙げていることから知ることが出来ます。
ただ1ヶ所だけ、「バロック音楽の付点リズム」のところで掲載された説明用の画像は、視覚的に不完全さを感じてしまいます。

このように「長」、「短」と「言葉」で説明するのよりは、

このように、きちんと「楽譜」(参考文献の中にもあったクヴァンツの書籍からの引用)で示してくれた方が分かりやすいはずですからね。

Book Artwork © Artes Publishing Inc.
[PR]
by jurassic_oyaji | 2014-05-22 20:40 | 書籍 | Comments(0)