おやぢの部屋2
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C.P.E.BACH/Die letzten Leiden des Erlösers
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Christina Landshamer, Chrisitane Oelze(Sop)
A. Vondung(Ms), M. Schmitt(Ten), R. Trekel(Bar)
Hartmut Haenchen/
RIAS Kammerchor(by Denis Comtet)
Kammerorchester Carl Philipp Emanuel Bach
BERLIN/0300575BC




カール・フィリップ・エマニュエル・バッハは、1714年の3月8日に生まれていますから、ヨーハン・ゼバスティアン・バッハが28歳の時の子供です(父バッハは1685年の生まれですが、まだ誕生日の前でした)。ということは、今年2014年は、C.P.E.バッハの生誕300年という記念の年になるのですね。それにしては、日本ではあまり騒がれていないな、という気がしますが、地元ドイツでは大いに盛り上がっているに違いありません。
事実、そのまさに300歳を迎えた誕生日当日の2014年3月8日には、ベルリンのコンツェルトハウスで、彼の大作「救い主の最後の苦難」という受難カンタータが演奏されようかという時を迎えていました。おそらく、その模様はドイツ全土にラジオで放送されたのでしょう。そして、その時の音源が、こんなに早くCDになって、日本でも入手できるようになっていました。ま、あの新年の恒例行事には及びませんが、こんなマイナーな作品のCDがたった2か月ちょっとで届くなんてかなり異例のことです。それだけ、ドイツ人のこの作曲家に対する思いが尋常でないことも、ここからはうかがえるのではないでしょうか。
演奏しているのは、ハルトムート・ヘンヒェンが1982年から芸術監督を務めているカール・フィリップ・エマニュエル・バッハ室内管弦楽団。まさにこの日にふさわしい名前を持つ団体ですね。1969年に設立されたこの室内オケは、もちろんモダン楽器を使っています。なんと言っても昨今はこの時代の作品ではピリオド楽器で演奏する方が当たり前という風潮が強まっていますが、それをあえてモダンで押し切っているのは、オペラなど幅広い分野で活躍しているヘンヒェンの、「本当の意味での『オーセンティック』な演奏などありえない」という主張の反映なのでしょう。
1770年に作られたこの作品は、もはや、いわゆる「受難曲」のように教会での礼拝の際に演奏されるものではなくなっています。声楽はソロ5人(ソプラノが2人)と混声合唱、一応物語を進行させるレシタティーヴォはありますが、それは聖書の言葉をそのまま語るのではなく、もっと自由に編集されたものに変わっています。これはソリストが交代で担当。中には「アッコンパニャート」という、ドラマティックな伴奏が付くところもあります。でも、聴いているうちに父バッハの作品でおなじみの単語や固有名詞が出てきますから、それなりにプロットは継承しているのでしょう。「ペテロの否認」のシーンのあとに悲しみに満ちたアリア(テノールの「Wende Dich zu meinem Schmerze」)が続く、などというのも、もはや時代を超えたパターンとして受け継がれているのかもしれませんね。このアリア、最後に一旦終わるかに見せて、終わらずに続くという「偽終始」と呼ばれる和音進行が聴こえます。これなどは、まさにモーツァルトなどにつながる新しい音楽の象徴ですね。
さらに、同じテノールで、今度はキリストを揶揄するような元気のよいアリアが歌われます。タイトルが「Vorstockte Sünder!(強情な罪びと)」というのですから、どんな内容かは大体想像できますね。途中にはコロラトゥーラなども現れて、その「軽さ」が強調されています。
最後は大きな合唱で締められますが、これは間にソロを挟んだいともノーテンキな曲調なので、なんと不謹慎な、という気になるのですが、実はこれは死によって人々を「救って」くれたキリストに対する感謝の気持ちの表れだったのですね。この前の曲では、なんとティンパニまでが加わって、もろダイナミックに盛り上げています。父バッハの作り上げた崇高な世界を、息子はもっと身近なものにした、といったところでしょうか。
合唱はたまにしか出てきませんが、なんか上っ面だけの歌い方に終始しているように感じられてしまいます。こんな作品だからこそ、もっと「熱く」歌ってほしかったのに。

CD Artwork © Edel Germany GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-05-30 20:13 | 合唱 | Comments(0)