おやぢの部屋2
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BERNSTEIN/West Side Story
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Alexandra Silber(Maria)
Cheyenne Jackson(Tony)
Micheal Tilson Thomas/
San Francisco Symphony
SFS/821936-0059-2(hybrid SACD)




レナード・バーンスタインとは縁のあったマイケル・ティルソン・トーマスが、サンフランシスコ交響楽団を率いてコンサート形式でそのバーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」を上演しました。そのライブ録音が、SACDでリリースされたのですが、それが2枚組、しかも「コンプリート・ブロードウェイ・スコア版/世界初録音」などという日本の代理店のコピーが踊ってたりすれば、もう買わないわけにはいきません。でも、今頃「世界初録音」なんてありえませんが。
案の定、この、厚さが2センチもある貴重な写真が満載の豪華なパッケージには、どこを探してもそんなことは書いてありませんでした。こんなコピー、いったい、どこからでっち上げたのでしょう。
その「コンプリート・ブロードウェイ・スコア」なるものをMMTが抱えている写真もここには載っていますが、それは見慣れたBoosey & Hawks版、確か1994年に出版されたものです。それは、そもそもバーンスタイン自身が1984年に初めてこの「自作」を録音した時に用意した楽譜を元に校訂されたもののはず、ですから、そのバーンスタインの録音こそが、「世界初録音」になるのではないでしょうかね。確かに、バーンスタインはスコアにある曲のうちの場面転換の音楽などをカットしていますから「コンプリート」ではないのかもしれませんが、今回のMMT盤でも、そこはやはりカットされているのですよ。
さらに、このスコアは「ブロードウェイ・スコア」と言うだけあって(いや、スコアそのものにはそんな表記はどこにもありません)、実際にミュージカルのピットでの演奏を想定しての楽器編成になっています。楽譜にある編成は、こんな感じ。

このオケにはヴィオラがないんですね。弦楽器はヴァイオリンが7人、チェロが4人、コントラバスが1人だけ、さらに木管楽器はマルチリードで、「リードIII」などは一人で8種類の楽器を持ち替えなければいけません。でも、クラシックのオーケストラでこんなことが出来る人なんかいませんから、こんな編成表を忠実に守ることなんて出来るわけがありません。5人で済むはずのところがここでは11人に増えています。弦楽器も、それぞれ倍以上に増員しています。ですから、この演奏は「コンプリート」でも「ブロードウェイ」でも、ましてや決して「世界初録音」でもないのですね。いくらCDが売れないと言っても、こんな「不当表示」の山盛りは、自分の首を絞めるだけだという大事なことに、代理店は気づかないのでしょうか。
写真を見ると、サンフランシスコ響の本拠地のデイヴィス・シンフォニー・ホールのステージは、後方が一段高くなっていて、そこでソリストたちが演技をしながら歌っています。もちろん「ミュージカル」ですから、みんなハンズフリーのワイヤレス・マイクを付けています。SACDにはスコア通りに、ナンバーの中で語られるセリフしか入っていませんが、もしかしたら普通のセリフの部分の演技もあったのかもしれませんね。
キャストの中では、トニー役のシャイアン・ジャクソンが、伸びのある声でなかなか魅力的。「グリー」で、ボーカル・アドレナリンのコーチ役だったということですが、全く記憶にありません。マリア役のアレクサンドラ・シルバーは、ミュージカルのキャリアはまだ駆け出しのようで、まだまだこれから、という気がします。「アメリカ」のアンサンブルでコンスエロのパートを歌っていたLouise Marie Cornillezという人が、ミュージカルにはもったいないようないい声だったので経歴を見てみたら、オペラで活躍している人でした。
客席には映画版でアニタ役を演じたリタ・モレノなども座っていたようですから、さぞや盛り上がったことでしょう。ただ、「プロローグ」からして、なんともかったるいリズム感で、とてもミュージカルを聴いている気はしませんでした。さっきの「アメリカ」などは、リズム的には最悪。

SACD Artwork © San Francisco Symphony
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by jurassic_oyaji | 2014-06-15 20:28 | オペラ | Comments(0)