おやぢの部屋2
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帯職人の悲劇
 私は、CDを買うときは大体輸入盤なのであまり縁はないのですが、国内盤のCDだと必ず外側に変なものが付いています。こんな感じですね。

 これは「帯」と呼ばれているものです。まあ、ジャケットだけでは物足りないので、パッケージをさらに目立たせるためにいろいろな情報を詰め込んだ、言ってみれば本屋さんなんかにあるPOPみたいなものなのでしょうか。ただ、これは買ったばかりの時には、その外側が透明のシールでパックされているので本体と一体化していますが、CDを聴くためにそのパックを破いてしまうと、

 こんな、ただの紙切れになってしまって、しまう場所にも困ってしまうような邪魔ものに変わります。かといって捨てるのももったいないので、そのままケースの中にしまっておいたりするのでしょう。それにしても、なぜこれを「帯」と呼ぶのでしょうか。普通「帯」と言えば、ひも状のもので、端を縛ってほどけないようにして固定するもの、でしょうね。この紙きれのどこに、そんな機能があるというのでしょう。「帯」というよりは、「サロンパス」みたいなものなのではないでしょうか。しかも、貼りつけたりは出来ませんから、何の役にも立ちませんし。
 しかし、最近紙ジャケのCDを買った時に、そこに同じように「帯」があるのを見つけました。それは特別に昔のLPを忠実に再現したものだったのですが、そこに付いていた「帯」までも再現してあったのです。そのことを表すのに、そこでは「巻き帯」という言葉を使っていました。ああ、それで納得です。「帯」というのは、本来は「巻き帯」というべきものだったのですね。確かに、それはやはり国内盤のLPには欠かせないものでした。

 こんな風に、ジャケットに「巻きつけて」あったんですね。これを外すと、

 確かに「帯」状にループになっていますね。
 そう、これはLPの時代からの日本独自の商習慣だったのでした。それがCDに変わって、そうなると「巻く」わけにはいきませんから平らな紙を折っただけになり、名前からも「巻き」がなくなってただの「帯」になったということなのですね。
 さらに、CD時代になると輸入盤がどっさり国内市場に入ってくるようになりました。もともと、それはそのまま販売していたのですが、やがて親切心からか、輸入盤を扱っている業者が、日本語を印刷した「帯」を付けるようになりました。別に英語がちゃんと読める人にとってはそんなものは全然必要ないのですが、まあ、それが親切だと思っていたのでしょう。そのうちに、それだけでは飽き足らずに、「解説」までその「帯」に印刷するようになってきました。聞いたことのない曲などでは、どんなものかを紹介するのは、ある意味必要なことなのかもしれませんね。そんな「帯解説」を専門に執筆する「帯職人」なる、一種のライターも登場するようになります。
 と、それ自体は、初心者に対する教育的目的という見地からも、なかなか立派なお仕事には違いありません。ただ、それは、彼が正しい情報を伝えていれば、の話です。おそらく、こんなことを専門にやっている人はそんなに多くはないのでしょう。勢い、多くの「帯原稿」を仕上げるための時間はそんなに取れなくなった結果、かなりいい加減な仕事が目立つようになってきます。基本的には、自分で調べて原稿を書くわけではなく(そんな時間があるわけがありません)、ライナーノーツの英文の一部を、そのまま翻訳するだけのことなのですが、その人の語学力の限界なのでしょう、とんでもない誤訳がそのまま印刷されることが頻繁に出てきます。最近そんなひどい「帯」に出会ったので、そのままご紹介します。

 赤枠で囲んだ部分が、ライナーをきちんと読んで的確に訳していれば絶対に起こり得ない間違いです。これを、普通の人は全面的に正しいものと信じ込んでいるのでしょうから、これは本当に恐ろしいことです。
 特にこの代理店の場合は、なまじ「解説」にスペースをとっている分、かなり長文の解説が必ず入っています。しかし、その中には書いた人の主観が丸出しのみっともない文章もたくさん見つかります。別に我々はそんな幼稚な「作文」を読みたいわけではないのですから、まずはライナーをきちんと「正しい日本語」に訳すところから、真摯に勉強し直してほしいと、切に願っています。それが出来ないのなら、こんな読む価値の全くない「解説」などは掲載するのをやめるべきです。
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by jurassic_oyaji | 2014-06-20 21:03 | 禁断 | Comments(0)