おやぢの部屋2
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BARTÓK/Kossuth, Concerto for Orchestra
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Cornelius Meister/
ORF Radio-Sympnonieorchester Wien
CPO/777 784-2(hybrid SACD)




スーパーで牛乳を買う時には、常に奥の方から日付の新しいもの、つまり賞味期限が長いものを選ぶというのは、消費者が自分を衛るための当然の権利です。いきおい、この「おやぢ」のアイテムも、そんな「消費者的自衛権を行使」した結果、着いたばかりの新しいものから手を付けていくことになります。そうなると、いつの間にか聴かないCDが大量に残ってしまいます。いくら「権利」だからといって、闇雲に拡大解釈をしたりすると、そんな弊害が出てきます。なんてね。
ということで、なんと1年前に入手したものが今頃のレビューで登場となりました。演奏しているのはウィーン放送交響楽団です。かつてはいかにも放送オケらしく、新しい音楽を専門に演奏していたものですが、最近の首席指揮者ベルトラント・ド・ビリーのもとではオペラも含めたもっと幅広いレパートリーで勝負していたようですね。このSACDでは、このオーケストラに、2010年から首席指揮者のポストを獲得したコルネリウス・マイスターが指揮をしています。だいぶ前の噂ではマルクス・シュテンツがこのポストに就任することになっていたのに、いったい何があったというのでしょう。というか、このマイスターという名前は初めて聴いたような。ただ、日本ではだいぶ前に新国立劇場にデビューしているそうですし、このオーケストラと一緒に来日も果たしていますから、それなりの知名度はあるようですが。1980年の生まれと言いますから、まだ30代前半、これから頭角を現してくるのでしょうか。
タイトル曲は、バルトークの「大オーケストラのための交響詩『コシュート』」です。やはり1年前にやっていた朝ドラのように、夫の姉にいびられる嫁の話ではありません(それは「小姑(コジュート)」)。「コシュート」というのは、コシュート・ラヨシュという、実在の人物のことです。バルトークの祖国ハンガリーがオーストリア帝国の支配から立ち上がろうとした1848年のハンガリー革命の時の英雄です。結局革命が成就することはありませんでしたが、彼はハンガリー人の心の中にずっと残っているのだそうです。
バルトークがこの曲を作ったのは1903年のこと、まだ20代初めの若者の時でした。なんでも、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラ」を聴いて衝撃を受け、この曲を作ろうとしたのだそうですね。確かに、その描写性を表に出した構成といい、オーケストラの使い方といい、いたるところにシュトラウスの影響を見ることが出来ます。そのクライマックスは、なんと言っても戦いの模様を描写した8曲目(作品全体は切れ目なく演奏される10曲から出来ています)でしょう。まるで大砲の音を模したようなバスドラムの一撃などは、ほとんどチャイコフスキーの「1812年」ではありませんか。しかも、曲の中では相手軍であるオーストラリア帝国の「国歌」までが聴こえてきますから、なおさらです。これは、あのハイドンが作った有名なメロディなのですが、それが敵国のものだということで微妙にデフォルメされているのが不気味です。
それと全く同じ、「負」のイメージを持った引用をやっているのが、このアルバムのカップリング、それから40年後に作られた「管弦楽のための協奏曲」です、それは、ご存じ4曲目の「中断された間奏曲」の中に現れる、ショスタコーヴィチに対する揶揄です。そういう意味では、「オケコン」は「コシュート」の進化形?
もし、マイスターがそう思って、こんなカップリングを企てたのだとすれば、この「オケコン」のなんとも言えないユルさが理解できるような気がします。そんな無理なこじつけを押しつけられて、オケのメンバーはきっと当惑していたのでしょう。でも、こんな刺激の少ない「オケコン」もある意味魅力的。長い目でこのチームを見守っていきたいものです。音楽に賞味期限なんてありません。

SACD Artwork © Classic Produktion Osnabrück
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by jurassic_oyaji | 2014-06-27 20:04 | オーケストラ | Comments(0)