おやぢの部屋2
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Abbey Road Sonata
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1966 Quartet
松浦梨沙, 花井悠希(Vn)
林はるか(Vc), 江頭美保(Pf)
DENON/COCQ-85069




どうせすぐ消えてしまうだろうと思われていた1966カルテットも、クイーンやマイケル・ジャクソンなどと目先を変えつつ、これが5枚目のアルバムですと。まあ、そこそこマニアックなところも主張しているようで、そんなところに惹かれるファンもいるのでしょう。
今回も、アートワークに関しては脱帽です。このジャケットの写真、オリジナルと同じ服装に、腕や足の位置まで同じという凝りようです。こちらに、これを撮影した時の映像がありますが、ここまでのものを撮るまでには、かなりの手間がかかっていたんですね。車が通るときにはすぐ逃げなければいけませんし、ポール役の花井さんは舗道にスリッパを脱ぎ捨てて裸足で横断歩道に立ちます。惜しいかな、オリジナルは歩きながら撮った何枚もの写真から選んでいるので、ズボンの裾などは前に跳ね上がっていますが、こちらは止まったところを撮ってますから、裾は垂れ下がったままです。

さらに、ブックレットの裏側まで、こんな風にほぼ忠実に再現されています。こちらも、プレートの部分は合成しているので、実体感が全くないのが惜しいところ。

ところで、このアルバムでは、どこを見ても「アビイ・ロード」という不自然な日本語表記になっていますが、これはまさにプロデューサーの高嶋弘之が、最初にオリジナルのLPが出たときに巻き帯に使った表記が、そのまま公式なものになってしまったからです。今だったら「アビー・ロード」という自然な表記になっていたものを。

ビートルズをクラシックのアーティストがカバーするというありきたりの企画はいくらでもありますが、今回のこのアルバムのように、ビートルズの曲の間にクラシックの曲を挟んで編曲する、という、それよりワンランク手の込んだ企画だって、まだビートルズが現役で活動している時代に作られたジョシュア・リフキンのアルバムを始めとして、今までに星の数ほどもあったはずです。ですから、そんな中で抜きんでた存在であろうとすれば、まず問われるのは編曲のセンスでしょう。クラシックとビートルズが見事に一体化して、今まで誰も思いつかなかったような姿に変わったとすれば、そこからは感動が生まれますが、それはとてもリスキーな賭け、一歩間違えば、往年の山本直純の編曲作品(ビートルズとは限りません)のような、許しがたいほどにみっともないものに変わるだけです。いかに、ビートルズが実際に使ったスタジオで録音しようが、そんなものは何の足しにもならなくなってしまいます。
そう、さっきのジャケット写真で分かるように、彼女たちはわざわざロンドンの「アビー・ロード・スタジオ」まで出かけていって、そこの「スタジオ2」で3日間にわたる録音セッションを持ったのでした。
結果的には、まあダサく見えない程度の仕上がりにはなっているでしょうか。しかし、ここで起用された編曲者のうちの一人はとんでもない「イモ」でした。彼が担当した分はまさに駄作です。何しろ、クラシックのネタをそのまま見せてしまうというお粗末さ、聴いていて悲しくなってしまうほどです。そこへ行くと、もう一人の方は決して「元ネタ」を明かさずに、そのテイストだけを曲に取り入れるというしっかりとしたスキルを持っていますから、聴く方も真剣になって「受けて立つ」みたいな気持ちが奮い立つほどです。見事だったのは「A Hard Day's Night」。伴奏がどこかで確かに聴いたことがあるものなのになかなか思い出せずにいると、最後になってそのテーマの断片が出てきて「これだ!」とわかる仕掛けです。ビートルズが実際に録音の時に用いたホンキー・トンク・ピアノを使った「Lady Madonna」は、ガーシュウィンのイントロがかっこよすぎ。「The End」で、3人のギター・ソロを完璧にコピーしているのも素敵です。ただ、歌のメロディ・ラインのコピーがいまいちなのが、とても気になります。

CD Artwork © Nippon Columbia Co., Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2014-07-05 20:36 | ポップス | Comments(0)