おやぢの部屋2
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After Hours
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The King's Men
CHOIR OF KING'S COLLEGE/KGS0006




以前モーツァルトの「レクイエム」を聴いていたキングズカレッジ合唱団の自主レーベルから、こんな「ポップス」アルバムが出ました。しかし、演奏しているのは「キングズカレッジ合唱団」ではなく、「The King's Men」という団体です。これは、「キングズカレッジ合唱団」の「男声」パートの大学生のうちから選抜された14人のアンサンブルです。そういう意味で、このCDの紹介としてウェブに公開されている代理店(キングインターナショナル)のインフォは、不正確です。
似たような名前で、やはり同じようにこのキングズカレッジ合唱団のメンバーによって作られた「キングズ・シンガーズ」というのがありますが、それは卒業しても活動を続けています。しかし、こちらはあくまで「現役」の合唱団員によるアンサンブルですから、当然メンバーは毎年入れ替わります。
いや、メンバーだけでなく、実はアンサンブルの名前まで替わっているんですよ。この「ザ・キングズ・メン」というのは、今回のCDで初めて使われる名前、それまでは「コレギウム・レガーレ」と言っていたそうなのです。確かに、SIGNUMレーベルなどに何枚かのアルバムがありましたね。この名前は、ラテン語で「キングズカレッジ」のことなんですってね。なぜ名前を替えたのかは分かりませんが、新たに自主レーベルからCDを出すという決意の表れかなんかなのでしょうか。あるいは、今回のようにいきなり「ポップス」を出すということで、アンサンブルとしてのコンセプトが以前とは違ってきていることの表れなのでしょうか。確かに、以前も黒人霊歌のアルバムなどを出してはいましたが、今回のようにアースやジャクソン・ファイブまで踏み込んだレパートリーというのは初めてなのでしょうからね。
実は、今回も「穏健」なところでそんな黒人霊歌が1曲だけ歌われています。その「Swing Low, Sweet Chariot」を、2001年に録音された「コレギウム・レガーレ」名義のものと比べてみると、アレンジがガラッと変わっていました。最初のあたりはそれほど違ってはいないのですが、今回はそのあとのリズミカルな処理が、より「ポップ」な仕上がりになっています。
それにしても、最初のトラックでビーチ・ボーイズの「I Get Around」が聴こえてきたのには、驚いてしまいました。もちろん楽器などは入っていないア・カペラなのですが、あのキングズカレッジ合唱団の団員が「ボイパ」まで使って演奏しているのですからね。ところが、驚いたのはそこまで、とことんハーモニーは磨き上げられて素晴らしいのに、そして、限りなくオリジナルに近いアレンジなのに、そこからはオリジナルの持っていた魅力が全く伝わってこないのですよ。その原因は、彼らのあまりにもお上品な振る舞いです。確かに、ビーチ・ボーイズといえばコーラス・ワークは欠かせませんが、ブライアン・ウィルソンのコーラス・アレンジはかなり野暮ったいテイストを持っているものでした。それをただ「コーラス」の部分だけをきれいに磨き上げたところで、この曲、このグループの「ロックン・ロール」としてのグルーヴは、殺がれることはあっても決して増すことはないのです。
同じように、ジャズのスタンダード・ナンバーとして、例えばマンハッタン・トランスファーのコーラスでよく知られている「A Nightingale Sang in Berkeley Square」からも、「ジャズ」としてのテイストは完全に消え去って、心地よいハーモニーが響くだけです。
いったい、このアルバムは、誰に聴いてほしくて作られたものなのでしょう。クラシック・ファンにとっても、ポップス・ファンにとっても、これほど中途半端なものはありません。あるいは「コーラス・ファン」だったら喜ぶとでも思っているのでしょうか。タイトルは「放課後」。本業が終わった後に、仲間内で軽くハモろうか、というのは別にかまいませんが、この程度のもので商売をしようという根性は腐ってます。

CD Artwork © King's College, Cambridge
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by jurassic_oyaji | 2014-07-11 20:40 | 合唱 | Comments(0)