おやぢの部屋2
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GUDMUNDSEN-HOLMGREEN/Mixed Company
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Paul Hiller/
Theatre of Voices
London Sinfonietta
DACAPO/8.226114




このジャケットは、板壁に画鋲やセロテープでで止めた紙片の劣化の具合が、なんともレトロです。そんなジャケットといい、「混ざり合った仲間」みたいなタイトルといい、なんともつかみどころのないCDです。もちろん、この曲を作ったペレ・グズモンセン=ホルムグレンという、これを録音した時点で80歳となっていたデンマークの長老作曲家のことなども、その名前すら初めて聞くものでしたからね。そんなものを聴いてみようという気になったのは、ひとえに指揮がポール・ヒリアーだということと、このレーベルの録音の良さを味わいたいからでした。
気になるエンジニアは、予想通りプレベン・イヴァンでした。もうそれを見た時点で、今回も音に関しては裏切られることはないという確信がわいてきます。データを見るとしっかり32bit/352.8kHzというDXDですしね。ただ、それがノーマルCDでしかなかったことには、ちょっと失望させられます。せっかくのDXDですから、せめてSACD、欲を言えば24/192BAで聴いてみたいものです。つまり、そういうものが欲しい人は、ハイレゾ・データをダウンロードしてくれ、ということなわけで、確かにそれはこちらで販売されてはいましたが、そのスペックは24/88.2という、なんか中途半端なものでした。それでも、CDよりはマシなので、比較のために7曲のうちの3曲だけを購入して、試聴をしてみます。
CDでも、1曲目の「Run」などは楽器のパースペクティブがはっきりわかるような見晴らしの良い音場が体験できていたので、なかなか捨てたものではないな、と思っていましたが、それよりほんの少しだけ解像度の高いハイレゾ・データでは、それのさらにワンランク高い音が聴こえてきたのには、正直びっくりしてしまいました。全部で7つの部分から成るこの作品の中で、これはロンドン・シンフォニエッタの10人のプレーヤーだけで演奏されるもの。いきなり聴こえてくるバス・クラリネットのパルシヴなフレーズによって、とても緊張のある音の世界に誘われるものですが、そんな刺激的な楽器のそれぞれの音色が、まるで違うのですよ。特にヴァイオリンの艶やかさがCDではまるで失われています。
ダウンロードした残りの2曲は、合唱だけの曲「Sound I」と「Sound II」です。合唱とは言っても、実際は4人だけ、ですからそれぞれのパートはソロになるのですが、その声の深みが、やはりCDと比べてしまうと雲泥の差です。CDでは上っ面の声しか聴こえないのが、ハイレゾでは歌っている人の、それこそ「人格」まで感じられてしまうほどですからね。
ですから、これがSACDであれば、さらに元の録音に近づいた生々しい音を味わうことが、確実にできることになります。というか、ハイレゾではなぜ24/192DSDでダウンロードできないのでしょうか。これでは、まるで「蛇の生殺し」ですね(「蛇の煮っ転がし」ではありません)。
なぜ、タイトルが「混ざり合った仲間」なのかは、様々な要素がこの作品では「混ざり合って」いるからなのでしょう。デンマーク人のグズモンセン=ホルムグレンが作品のモティーフとして使ったのはイギリスの作曲家ダウランドのもの、それを演奏するのは、イギリスが本拠地のオーケストラと、デンマークが本拠地の合唱団、といった具合です。デンマークの合唱団?いや、ついうっかりしてこの団体はずっとアメリカの団体だと思っていたのですが、確かにヒリヤーによって1990年に創設された時にはベースはアメリカ、メンバーはアメリカ人とイギリス人だったものが、ヒリアーが2004年にデンマークに移住してからは、そこで全く別のメンバーによる同じ名前の団体が出来ていたのですね。
その合唱は、まるでペルトのような安息感を与えるものから、ベリオのようなとんがったものまで、振幅の大きいこの作品が求めるものを驚異的なスキルで音にして行きます。そんな山あり谷ありの末にたどり着く平穏な世界は、型どおりではあっても心を打ちます。

CD Artwork © Dacapo Records
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by jurassic_oyaji | 2014-07-13 20:36 | 合唱 | Comments(0)