おやぢの部屋2
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BRAHMS/Ein deutsches Requiem
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Sibylla Rubens(Sop), Daniel Ochoa(Bar)
Roderick Kreile/
Dresdner Kreuzchor
Vocal Concert Dresden
Dresdner Philharmonie
BERLIN/0300569BC




ドレスデンの聖十字架教会(クロイツ・キルヒェ)付属の合唱団「クロイツ・コール」は、ライプツィヒのトマス教会の合唱団(トマナー・コール)と並んで、ほぼ800年という長い伝統を誇る合唱団です。7・7・7・5ではありません(それは「ドドイツ」)。いずれもメンバーは男声だけ、変声期前の少年がトレブル・パートを歌い、成年男声が男声パート(時にはアルト・パートも)を歌うという編成です。それぞれ、本拠地である教会で演奏会やレコーディングを行っていますが、今回のCDでは、ドレスデンのクロイツ・キルヒェの中で彼らが歌っている写真が、ブックレットに掲載されています。ライプツィヒのトマス教会の内部は、今までいろいろな機会に映像などで見てきましたが、こちらは、映像はおろか、写真でも初めて見るものでした。その見開きの写真によって、その内部は、ほとんどコンサート・ホールのような空間になっているのを知って、ちょっと驚いているところです。

写真のアングルにもよるのかもしれませんが、この教会は柱の間が広く取られていて、真ん中がとても広々とした空間になっているうえに、その柱の外側に広がる2階のバルコニーもかなり奥行きが広く、10列ぐらいの客席が設置されています。さらにその上層にも同じだけのバルコニーがあるのですから、収容人員は軽く1000人を超えてしまうのではないでしょうか。
この会場で、クロイツ・コールは毎年教会暦の最後の主日、つまり、教会にとって最後の締めくくりとなる日に、このブラームスの「ドイツ・レクイエム」を演奏しているのだそうです。その習慣は、おそらくこの作品がライプツィヒで全曲初演された1869年からそれほど経っていない時期に始まったのではないでしょうか。そのぐらい、彼らにとってはまさに「特別な作品」としての位置づけが、「ドイツ・レクイエム」にはあるのでしょう。
これも、去年2013年の1124日、聖霊降臨後最終主日に行われた演奏のライブ録音です。オーケストラはドレスデン・フィル、そして、合唱は、クロイツ・コールの他に「ヴォーカル・コンサート・ドレスデン」という、クロイツ・コールのOBやドレスデン大学の卒業生がメンバーの30人ほどの大人の混声合唱団が加わっています。やはり、30人程度のクロイツ・コールだけではブラームスならではの重みを出すにはちょっと辛いのでしょうね。
あくまでも、「特別」な演奏会(というか、ほとんど礼拝)ということが感じられるような、とても慈しみ深いオーケストラの響きによって、曲は始まります。その薄い編成の中に込められた静かな情感は、確かに存分に伝わってきます。そして、合唱が入って来た時には、大人数にもかかわらず、しっとりとした「暗さ」がその中に宿っていることも感じることが出来ました。しかし、徐々にオーケストラの楽器が増えてくると、その合唱の主張が次第に薄くなって行くことも感じられてしまいます。おそらくライブ録音ならではのマイクアレンジの問題なのでしょうが、この巨大な空間と、良く鳴るオーケストラの中では、この合唱はあまりにも弱々しく聴こえてしまいます。
そのうちに、児童合唱のある意味欠点である、ソプラノ・パートのちょっとした弱々しさも、かなりはっきり表に出てくるようになってきます。その「無垢な声」は、時には演奏全体をぶち壊しかねないほどのリスクも秘めていることが、どうやらここでも明らかになってしまっていたようです。ほとんどア・カペラに近い状態だった後にオーケストラが入ってくると、そこでピッチが許容の限界を超えるほど狂っている、などという場面も数多く見られます。
年に1度の「特別な」演奏も、毎年繰り返すことで緊張感が薄れるというのはよくあることです。この録音では、そんな「特別さ」を維持することの困難さの方が如実に感じられてしまいました。

CD Artwork © Edel Germany GmbH
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by jurassic_oyaji | 2014-07-17 20:39 | 合唱 | Comments(0)