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”Si suona, a Napoli" 18th Century Neapolitan Flute Music
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Renata Cataldi(Fl)
Egidio Mastrominico/
Le Musiche da Camera
DYNAMIC/CDS 7674




このCDのタイトルは、「ナポリでは、なんていい音楽が聴けるんだ!」といったほどの意味です。なんでも、コレッリがナポリで演奏した時に、その街の音楽家の腕にとても満足して放った言葉なのだそうです。多分におべんちゃらの意味が含まれてはいるものの、これは当時のナポリの音楽的な水準の高さを後世に伝えるものとなっています。なんたって、和声法の教科書には「ナポリの6」という言葉まで登場するのですからね(これは、由紀さおりの「手紙」のBメロ、「二人で育てた 小鳥を逃がし」の「小鳥を逃が」の部分で現れるカッコいいコードのことです)。
そのナポリで、18世紀に活躍した5人の作曲家のフルート協奏曲が、ここでは紹介されています。しかし、当時こそ一世を風靡していた作曲家たちも、今となっては完璧に忘れ去られていますから、ここに並ぶ5人の名前はいずれも初めて耳にするものばかりです。そのうちの3人の作品は、これが世界初録音となるのだそうです。
演奏しているのは、ピリオド楽器のオーケストラとソリストです。1曲目は1698年生まれのニコラ・ログロスチーノの「5声の協奏曲ト長調」。ソロ・フルート+第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、低音という「5声部」から出来ています。低音にはチェロ、コントラバス、チェンバロの他に、ここではリュート(曲によってはバロック・ギター)が加わっています。このレーベルならではの素人っぽい録音のせいでしょうか、あるいはソリストのカタルディの、ちょっとあか抜けない演奏のせいでしょうか(写真では、ちょっと美しさからは隔たった容姿のぽっちゃり系、それが丸出しのドレスなのでいかにも鈍重に見えます)、それとも、華麗さには程遠いこの曲の作風からでしょうか、なんとも重苦しいものに聴こえてしまいます。短調になる第2楽章では、もっと装飾を付けて技巧をひけらかした方が、より味が出るのではと、余計な心配もしてしまいます。
2曲目は1711年生まれのダヴィッド・ペレスの、今度はヴィオラが抜けた「4声の協奏曲ト長調」です。これ以降の曲はすべてこの編成になります。この曲は通常の3楽章形式の協奏曲の前に、もう一つ「カンタービレ」という楽章が加わった4楽章形式ですが、緩徐楽章である第3楽章が、伝バッハの「シチリアーノ」という、かつて「フルート・ソナタ第2番変ホ長調」と呼ばれていた作品の第2楽章と、微妙に似ています。「元ネタ」の真の作曲者であるエマニュエル・バッハはペレスのまさに同時代人ですから、何らかの形で「参考にした」のかもしれませんね。あるいはその逆だとか。
3曲目以降が世界初録音。その3曲目を作ったアニエッロ・サンタンジェロという人は、生年の記録がどこにもないそうですが、1737年に初めてヴァイオリニストとして文献に登場しているので、ほかの人たちと同じ時期に活躍した作曲家です。これも、第2楽章に注目です。そこでは、なんとも斬新なコード進行が聴こえてきて、ちょっとびっくりさせられますが、良く聴いてみるとそれは「ナポリの6」ではなく「ドッペル・ドミナント」でした。
4曲目はジュゼッペ・セリット(1700年生まれ)の協奏曲。これは、今までのものとはガラリと様子が変わって、かなり華やかな技巧が表面に出てきています。ソリストも、まるで別人のように生き生きとした演奏を聴かせてくれますよ。正直、退屈なアルバムだと思っていたのに、ここまで聴いてやっと楽しめるものが出てきました。
そして、最後のアントニオ・ペレッラ(1692年生まれ)の作品も、そんなわくわくするような曲でした。ここでは第2楽章がトリオ・ソナタになっていて、フルートとヴァイオリンのソロのやり取りが楽しめます。ほんとに、最後まで聴かないと良さが分からないということはあるものですね。

CD Artwork © Dynamic S.r.l.
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by jurassic_oyaji | 2014-08-12 20:44 | フルート | Comments(0)