おやぢの部屋2
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BRAHMS/Ein deutsches Requiem
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Donna Brown(Sop)
Gilles Cachemaille(Bar)
Helmuth Rilling/
Gächinger Kantorei Stuttgart
Bach-Collegium Stuttgart
HÄNSSLER/98.038




ピリオド楽器界の重鎮、フランス・ブリュッヘンが亡くなりましたね。1934年生まれ、誕生日前だったので享年79歳だそうです。同じ世代の指揮者、こちらはあくまでモダン楽器にこだわって、世界初のバッハの教会カンタータ全集を完成させたヘルムート・リリンクは、1933年生まれです。それぞれに全く別の道でバッハなどを極めた巨匠ですが、その結果出来上がった音楽には、何か共通した穏やかさのようなものが感じられないでしょうか。
いや、リリンクはまだご存命でした。ところで、この方の日本語表記は圧倒的に「リリング」という柔軟剤みたいな(それは「ハミング」)方が多いのですが、なんかなじめません。そもそも、この方の名前を初めて耳にしたときが「リリンクさん」だったので、それが刷り込まれているのもありますが、なんと言っても、ドイツに留学してこの方の「バンド」に加わってしまい、カンタータの録音にも参加されたオーボエ奏者、茂木大輔さんが、その著作の中で「リリンク」と書いているのですから、こちらの方がよりオーセンティックなのではないかと思うのですけど、どうでしょう?
そのリリンクは、このCDでも演奏している合唱団「ゲヒンガー・カントライ」を1954年に創設、さらに1965年にはその伴奏を担当する「シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム」も作ります(これが、茂木さんの言う「リリンク・バンド」)。その両団体が中心になって、1981年には「バッハ・アカデミー・シュトゥットガルト」という組織を設立して、バッハに関した広範な活動を展開します。たとえば、モーツァルトの「レクイエム」のロバート・レヴィンによる修復稿などは、この活動の中から生まれたものです。ところが、リリンクは、2013年5月29日の80歳の誕生日をもって、「アカデミー」の音楽監督など、全ての関係機関の要職を辞任してしまいました。「アカデミー」の後任には、RIAS室内合唱団などの指揮者、ハンス・クリストフ・ラーデマンが就任したようですね。
そんな節目を迎えたリリンクの、これまでにHÄNSSLERに残された録音がまとめてリイシューされたので、まだ聴いたことのなかった「ドイツ・レクイエム」を入手してみました。おそらく、ブックレットも初出と同じものなのでしょう、その中にはリリンク自らが執筆したライナーノーツが掲載されていました。その冒頭には、「ブラームスは、『ドイツ・レクイエム』のタイトルから『ドイツ』を外して、『人類のレクイエム』としてもいいかもしれない、と言っていた」と書かれています。
リリンクの演奏は、確かにそんな「人類のレクイエム」にふさわしい、「ドイツ」や「ブラームス」から連想されるようなある種鈍重なものとは無縁の、スマートさを持っていました。特に合唱が、とてもクリアな発声と表現に徹していたのが、そう感じられた最大の要因でしょう。ただ、女声のちょっと硬めの声によって、ロマンティックなテイストまでがはねのけられていたのは、ちょっと残念です。
バリトンのソリストは、包容力のある声で、やはり大きな世界を感じさせてくれていますが、ソプラノのソリストはちょっと視野が狭く感じられるかも。
このCDは、1991年に録音されたものです。エンジニアは、カンタータなども手掛けているテイエ・ファン・ギースト、あらゆる分野で活躍している人ですが、ナチュラルなバランスの音が魅力的な多くの録音を残していますね。ゴールウェイがバッハを演奏したアルバムも、この人の録音ではなかったでしょうか。この「ドイツ・レクイエム」も、華やかさこそないものの、その堅実な音には惹かれます。特に、オーケストラの中でハープの音をかなりはっきりと浮き出させているのは、とても気持ちがいいものです。ただ、やはり大人数の合唱はかなり録音が難しいものですから、ここでもちょっと破綻が見られます。

CD Artwork © hänssler CLASSIC im SCM-Verlag GmbH & Co. KG
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by jurassic_oyaji | 2014-08-14 22:43 | 合唱 | Comments(0)