おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem(Ed.Beyer)



Lorin Maazel/
Chor und Symphonieorchester des Bayerischen
Rundfunks
DREAMLIFE/DLVC-8020(DVD)



モーツァルトのレクイエムが続きますが、今回は映像も付いていますからご勘弁を。これは、1993年にアウグスブルグの聖ウルリッヒ教会で行われたコンサートの模様を収録したもの。ただ、こういう場所でこういう曲ですから、「コンサート」というよりはやはり「礼拝」といった趣の方が強くなっています。演奏が始まる前の拍手もありませんし、終わった後では、なんと教会の上にある鐘が一斉に鳴り出すという「演出」、もちろん鐘が鳴り止めば、そのまま演奏者も聴衆も三々五々会場を立ち去ることになるという、ちょっと日本では味わえないような光景が待っていることでしょう。
ここで演奏しているバイエルン放送交響楽団と合唱団は、1988年にもバーンスタインの指揮でこの曲の教会でのコンサートの模様を映像に残しています。よっぽどこういうことに縁があるのでしょうね。しかも、両方ともバイヤー版を使っているというのも、面白いところです。ただ、今回ついでにそのバーンスタインの映像と見比べてみたのですが、オーケストラも合唱団も、同じ団体だとはとても思えないほど、異なった様相を呈していたのはちょっとした驚きでした。まず、オーケストラを見てみると、これが映像の良いところなのですが、マゼールは金管楽器にちょっと変わったチョイスを与えているのがすぐ分かります。なんと、トランペットはロータリーなしのナチュラル管、そして、トロンボーンもベルが開いていないバロックタイプの楽器を使わせているのです。つまり、限りなく「オリジナル」に近い選択を行っているということになります(バーンスタインの時には普通のモダン楽器を使っているのですから、これがマゼールの意向であるのは明らかです)。もちろん、マゼールのことですから、本格的にオリジナルっぽいアプローチを試みようなどというつもりはさらさら無かったのでしょうが、ここで聴くことの出来るトロンボーンの柔らかな音色は、なかなかなものがあります。ただ、トランペットの場合はそれが裏目に出てしまって、演奏上の困難さだけが耳に付いてしまったのが、ちょっと「惜しい」ところです。
逆に、バーンスタインの映像を見直して気が付いたのが、バセット・ホルンとファゴットを倍管、つまり4本ずつ使っているというとんでもないこと。虎刈りにされてはたまりません(それは「バリカン」)。おそらく、彼の生涯には、「オリジナル楽器」との接点は全く存在していなかったことでしょう。
合唱も、バーンスタインのように、「熱く」コテコテに歌うことを要求されると、基本的なアンサンブルに破綻をきたしてしまうのでしょう。マゼールのちょっと醒めた、しかし、要所ではきっちり盛り上げるというパターンのはっきりした指揮の方が、彼らの実力が存分に発揮できるようです。そう、このライブ映像でもっともよく伝わってくるのが、マゼールのそのような明確なパターンの有り様です。彼の作り出す音楽にそれほどの共感を得ることが出来ない人でも、そのようなはっきりとした道筋が見えてくる前では、ある種の畏敬の念すら抱きかねません。ツィーザクを初めとするソリストたちのアンサンブルが、まるで奇跡のような精度を見せているのは、あるいはそんな指揮者のオーラが作用していたせいなのかもしれません。
カップリングがストラヴィンスキーの「詩編交響曲」、これも秀演です。もちろん、ヴァイオリンとヴィオラがなくて、2台のピアノが入っているという変わった編成を、実際に「目」で確認することが出来ます。
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by jurassic_oyaji | 2005-07-11 19:44 | 合唱 | Comments(0)