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Romantic Works for Flute and Piano
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古賀敦子(Fl)
宮田真夕子(Pf)
GENUIN/GEN 13540




2012年に録音され、2013年にリリースされたという、だいぶ前のCDですが、このレーベルの古賀さんが参加している他のアルバムと一緒に、日本の代理店がまとめて国内販売をかけたので、今頃の発売となりました。日本人アーティストのアルバムということで、英語、ドイツ語の他に日本語のライナーノーツも付いています。
そのライナーによると、フルーティストの古賀敦子さんは福岡市の生まれ、桐朋学園高校からパリのコンセルヴァトワールに進み、大学院にも進学、多くのコンクールで賞を得ているそうです。現在はドイツを中心に活躍なさっているようですね。ピアニストの宮田さんも、やはりドイツを本拠地にして活躍されているそうです。
このアルバムは、タイトルの通り「ロマン派」のフルートとピアノの作品が集められています。まあ、実際は20世紀になって作られた曲もありますが、あくまで「ロマン派の作曲技法で」といった意味合いなのでしょう。それは、まるで一晩のリサイタルのセットリストのように、お客さんに様々な体験をしてもらおうとの配慮がうかがえる、しゃれた選曲です。
まず、最初はヴィドールの「組曲」で、宮田さんの持つテクニックと音楽性を、存分に披露してくれます。彼女の音は、それほどのパワーは感じられませんが(特に低音)、その繊細さは聴くものを驚かせてくれます。この曲は非常に難易度の高いもので、まずは運指の段階でかなりのハードルの高さが設けられていますが、彼女はそんなものはごく当たり前のようにクリアしています。その上で、実に細やかな表情を施しているのですね。おそらく彼女の最大の「武器」は、とことんまで磨き上げられたピアニシモなのではないか、と思えるほど、頻繁に駆使しているそのピアニシモの音色には魅力があります。
そのあとに、見かけは優しい小品をはさむというのが、この選曲の粋なところです。まずは、バッハ+グノーの「アヴェ・マリア」です。これを、グノーが編曲の際に付け加えたイントロと22小節目の繰り返しを省いて、あくまでバッハのオリジナルをベースにした「アヴェ・マリア」を演奏しています。その繰り返しの部分で一瞬びっくりしますが、これが「バッハ派」としてのスタイルなのでしょう。
もう1曲の「小品」は、マスネの「タイスの瞑想曲」です。別名「ずんだ瞑想曲」(それは「大豆」)。こういう「名曲」を取り上げるのには、逆に勇気が必要なのでしょうが、案の定彼女の演奏はちょっと淡白すぎて、これぞという魅力に欠けているような気がします。
そして、さらに技巧の限りを尽くしたボルヌの「カルメン幻想曲」へとつながります。これは、まずイントロのピアノの雄弁さに驚かされます。あくまでフルーティストの華やかさを目立たせるために、あえて目立たないように弾くピアニストが多い中にあって、この主張の強さはかなりのインパクトを与えてくれます。したがって、普段この曲を聴く時のように、フルーティストの技巧に耳がいくというのではなく、次々に新鮮なアイディアを提供してくれているピアニストの方に、より注意がはらわれることになります。もし、このピアニストに拮抗するほどの主張をフルーティストが持っていたのなら、どれほどすさまじい演奏が実現したことでしょう。
さらに、「箸休め」の、ゴーベールの「マドリガル」(これも、あっさりとした、センスの良い演奏)を挟んで、おそらくこのアルバムのメインとなる正真正銘の「ロマン派」の作品、シューベルトの「しぼめる花変奏曲」が演奏されます。ここではもう、うらやましくなるほどのピアニシモが、表現にとてつもない深みを与えてくれていました。特にテーマでは、フルート曲というよりも、元のリートのテイストが強く感じられました。
最後は、まさに「アンコール」という体裁でサン・サーンスの「白鳥」、考え抜かれたプログラミングに脱帽です。

CD Artwork © GENUIN Classics
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by jurassic_oyaji | 2014-09-15 21:08 | フルート | Comments(0)