おやぢの部屋2
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DVORÁK/Symphony No.8
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Manfred Honeck/
Pittsburgh Symphony Orchestra
REFERENCE/FR-710SACD(hybrid SACD)




アメリカのオーケストラの中でも古い歴史を誇るピッツバーグ交響楽団は、プレヴィンやマゼールが音楽監督を務めていた時期もあり、かなりのハイ・ランクのオーケストラですが、最近では知名度はいまいちなのではないでしょうか。しかし、2008年にオーストリア出身のマンフレート・ホーネックが音楽監督に就任してからは、また新たな黄金時代を迎えようとしているように見えます。
そのコンビが、録音の良さでは定評のあるREFERENCE RECORDSから、年間2枚程度のSACDをコンスタントにリリースすることになったのだそうです。その第1弾はR.シュトラウスの交響詩でしたが、それに続いて発売になったのが、このドヴォルジャークとヤナーチェクをカップリングしたコンサートのライブ録音です。
SACDになっていたのでも分かる通り、これはまず録音面での優秀さを前面に押し出したプロジェクトになっています。ブックレットでわざわざ1ページを割くという異例の待遇で紹介されているのが、録音を担当した「サウンドミラー」という録音プロダクションです。メジャー、マイナーを問わず多くのレーベルで制作に携わっていますが、ここの設立者のジョン・ニュートンは、PHILIPSSACDの規格の開発にも携わったというものすごい人、今回の録音でも、録音からポスト・プロダクションまですべてDSDで行っています。
これはもう、その素晴らしい録音に圧倒されます。とても透明性の高い響きが、美しいホールトーンとともに収録されているうえに、個々のパートの密度がぎっしりと凝縮した厚みを持っていますから、極上のアナログ録音を聴いているような錯覚に陥るほどです。
そんな、とても滑らかな肌触りのサウンドで聴こえてきたドヴォルジャークの「交響曲第8番」は、とてもショッキングな演奏でした。今まで何度もいろいろな録音を聴いたり、なにより1度ならず実際に演奏に加わったこともある、言ってみれば「隅から隅まで知り尽くしている」はずの曲にもかかわらず、まるで初めて聴いた曲のように感じられるサプライズが、至る所に隠されていたのですよ。まずはしょっぱなのフルート・ソロ。この、音符からはとても想像できないような生き生きとした表現はいったい何なのでしょう。そのあたりは、ホーネック自身のライナーノーツで「これは、四角四面に楽譜通り吹くのではなく、あたかも鳥が歌っているように演奏すべき」と述べられていますが、まさにこのフレーズは鳥のさえずりそのものではありませんか。「目から鱗が落ちる」とは、まさにこのようなことを言うのでしょうね。
ホーネックがここで大切にしたかったのは「チェコの魂」なのだそうです。そのために取り入れたのが極端な「ルバート」。第3楽章で最初のテーマが帰ってくるところでの大げさな身振りあたりが、そんなルバートの最たるもの。実際にこの演奏を「生」で聴いていた人たちは、ここで一様に息を呑んだことでしょう。そして、フィナーレはまるで「お祭り」のよう、冒頭のトランペットは壮大なファンファーレではなく、いとも軽やかな祭囃子に聴こえます。もちろん、あの長大なフルート・ソロも、まるで「踊ってちょうだい!」と言わんばかりの「祭の笛」に変わります。
そんな指揮者のプランを、オーケストラのメンバーは見事に実際の「音」として現実のものにしています。その見事な一体感は、スキルを超えた特別な信頼感によってもたらされたもののように思えてしまいます。
ヤナーチェクの「イェヌーファ」は、同名のオペラから、ホーネックのコンセプトに従ってチェコの作曲家のトマーシュ・イレが編曲したオーケストラのための組曲です。いくつかのアリアや嵐の情景描写などが続けて演奏されますが、それぞれの曲の間がまるでライヒのようなマリンバのパルスによって違和感なく滑らかにつながっています。こちらも、「チェコの魂」が凝縮されたような素晴らしい演奏です。

SACD Artwork © Reference Recordings
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by jurassic_oyaji | 2014-09-17 19:51 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by JK at 2014-09-18 07:41 x
失礼します、JKです、

「おやぢ」様にしては珍しく、最近のご紹介ディスクのなかで、諸手を挙げての絶賛ですね。 コレは購入して聞いてみたいと思います。
RRのレコーディングは、そのあまりに明晰なサウンド(サウンド・ステージ)に、やや戸惑い・違和感を覚えるほどですが、素晴らしい録音であることは異論の無いところでしょう。
これも、やはり、ファイルとして聞いてみたいと思います。
Commented by jurassic_oyaji at 2014-09-18 23:57
こういう、特徴のはっきりした演奏は大好きなんですよね。