おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
Alles Hat Seines Zeit
c0039487_20332752.jpg




Lalá Vocalensemble
HÄNSSLER/CD 94.702




前回と同じシリーズ、品番も1番しか違わない連番です。このプロジェクトの母体である「Interkultur」のサイトでは、なんと合唱の「ワールド・ランキング」などというものが公開されています。その最新チャートによると、この「ララ・ヴォーカルアンサンブル」は総合トップ100では4位、そして「ポップ、ジャズ、ゴスペル、スピリチュアルズ」では1位というランキングです。
オーストリアのリンツで2005年に結成された4人組のア・カペラ・グループで、編成はまさに「古典的」なソプラノ、アルト、テナー、ベースという「四声体」です。ですから、まずこのCDで聴けるのが、レーガー、シューベルト、メンデルスゾーン、ブラームス、そしてブルックナーの「無伴奏混声合唱」を4人だけで歌っているトラックです。ブルックナーなどが入っているところは、さすがご当地リンツのグループですね。
録音は、明らかにポップス寄りのエレクトロニクスを駆使した音になっています。リバーブももちろんデジタル・ディレイなどが使われているのでしょうし、極端なオン・マイクでブレスの音もとてもはっきり聴こえます。そういう音で、こういう「クラシック」を演奏すると、確かに音的にはちょっと違和感がありますが、音楽そのものは紛れもなくシューベルトやブルックナーなのですから、逆にそのミスマッチを楽しめてしまいます。おそらく、オーストリアの若者たちの体の中には、しっかりとそういった「ご先祖」たちの作品がひとつの「財産」として脈打っているのでしょう。こういう、基本的にポップスを志向している人たちでも、ごく自然にそういう昔の歌を口ずさめるような、ある意味文化的なバックボーンがあるのでしょうね。それでこその「クラシック」、メンデルスゾーンの「Abschied vom Walde」(「緑の森~よ」という訳詩で有名)が、例えば日本の某混声合唱団がくそまじめに歌っているのとは全く別次元の、まるで鼻歌のようなアプローチであっさりと歌われているのを聴くと、「クラシック」に対する彼此の根本的な心構えの違いを感じないわけにはいきません。
いや、「鼻歌」と言ったのはものの喩えでして、彼らの歌はハーモニーからディクションから、そしてニュアンスから「合唱」として完璧なのですから、いやになってしまいます。さらに、ソプラノのイリア・フィアリンガーさんの、ピュアそのものなのに、その中には男の一番弱いところを刺激するようなはかなさを秘めている声には、完全に打ちのめされてしまいます。
アルバムは、そのあとにオーストリア民謡による合唱曲に続いて、なんと「ヨーデル」までが登場しますよ。「こんなものまで、よう出るな」と思っていると、続いて聴こえてきたのは、前回のアルバムでも登場していた「ニューヨーク・ヴォイセズ」ではありませんか。こちらでは、彼らの1989年のGRPからのデビュー・アルバムの最後を飾っていた、ピーター・エルドリッジの方のオリジナル曲「Come Home」の完コピ(いや、きちんと楽譜が出ているようです)が演奏されていました。なんという偶然でしょう

そのあとに、まさに彼らの本領発揮と言えるオリジナル、「Fawada」が歌われます。オーバー・ダビングも駆使して、まさにさっきのランキングのチャンピオンにふさわしい、ア・カペラの極致によるアフリカ音楽の世界が繰り広げられます。このアレンジがあまりにすごいので、それに続くポップスの「クラシックス」、トトの「ロザンナ」やアースの「セプテンバー」が、ちょっと陳腐に感じられてしまうというとても贅沢な不満も。多分、これはアレンジャー(アルヴィン・ステイプル)のせいでしょう。
これを録音した時には、ジャケ写でも分かるようにテナーのメンバーがドレッド・ヘアのちょっと「合唱」のイメージから遠い人でしたが、現在では普通のあっさりとしたヘアスタイルの人に替わっています。

CD Artwork © hánssler CLASSIC im SCM-Verlag GmbH & Co.KG
[PR]
by jurassic_oyaji | 2014-09-23 20:35 | 合唱 | Comments(0)