おやぢの部屋2
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永遠の0
 いいお天気が続いています。でも、あと2日もすると大きな台風が来るというので油断はできません。余談ですが、私には「台風が動く」という状況が全く理解できないんですけど。「沖縄付近を進んでいます」とか、「もうすぐ九州に上陸します」とか、まるで生き物のような表現がとても奇異に感じられるのですよ。本当は、ある気象的な条件によって、特定の場所に雲が集中して雨が降ったり風が吹いたりするという状況が、やはり外的な条件によって徐々に場所が変わっていくだけのことなのではないでしょうか。要は、「台風の方が動く」という「比喩」の方が分かりやすいので、何度か使っているうちに、いつの間にかそれが「比喩」ではなくなってしまって、あたかも「台風」というものが本当に「動いて」いるのだと、みんなが思いこむようになってしまったのですね。これは、気象学者によって行われた壮大な「洗脳」だったのです。騙されてはいけません。
 まあ、実際は地球は動いているものなのに、普通暮らしている分には空の方が動いて感じられるというのがまっとうな感覚なのですから、これは無理もないことなのでしょう。往々にして「真実」というものは人間の感覚からは遠いところにあるもののようです。
 ですから、例えば「戦争」とか、「特攻隊」というものの「真実」なども、なかなか単純に理解するのは難しいのではないか、というのが、きのうWOWOWで放送していた「永遠の0」を見て感じたことです。それにしても、確か今年の初めごろに大評判になってかなりのロングランが続いていたような記憶があるのですが、それがもうこんなところで見られるようになるなんて、そのサイクルはさらに短くなっているようです。
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 正直、この映画の原作者の名前を見た時には、一生見ることはないだろうと思っていました。なにしろ題材が「特攻隊」ですから、どんな不愉快な扱いがなされているか分かったものではありません。そんなものを、あろうことかお金を払って見るなんて、とても耐えられないことでした。でも、放送となれば、もしつまらないものであっても、それは単に「時間の無駄」だけで済まされます。いや、それも本当は充分大切なものなのですが、一応あの「三丁目の夕日」のスタッフの作品ですから、少なくともCGに関しては楽しめるでしょうからね。
 そんな、「腰の引けた」スタンスで見始めましたが、結構楽しめましたね。なんと、涙さえ出てきました。非常によく出来たプロットで、ツボを押さえていますから、間違いなくある意味「感動」を引き起こすには充分なだけのものはありました。CGも期待通りでしたしね。ただ、流れに乗せられてその場は楽しんでいたものの、ちょっと冷静になってみるとなんだかあちこちに違和感のようなざらついたものが残っていることに気づきます。いや、あの戦争の中で、「故郷で待っている人のために、生きて帰りたい。そして、そのことを他に人にも勧めたい」というパイロットがいたという設定だけでも、それこそご飯を3杯ぐらい食べられるほどのおいしさがありますよ。そして、その設定を実に見事に使って、とても分かりやすいストーリーが展開されているのですが、その設定そのものがなんだかウソ臭く感じられてしまうのですよね。確かに、そのような考え方の「日本(にっぽん)軍人」がいなかったわけではないでしょうが、そのような信念に基づいて、学徒動員のパイロットの実戦資格を認めないで無駄死にを妨げる、というような行動が、こんなにやすやすと放置される、という状況などは、とてもあり得ないような気がするのですよ。
 それと、この映画(原作は読んでいなので、あくまで映画での話です)では、この戦争の愚かさとか、特攻は間違ったことだといったような「見解」が、とても分かりやすくあちこちで描かれている中で、現代のシーンで「特攻は自爆テロと同じだ」と言う友人に対して主人公の一人が激しく抵抗する場面があるというのが、なんとも不思議でした。おそらく、どちらかが本音で、どちらかが建て前だったのでしょう。やっぱりな、という感じです。もちろん私は、特攻はまぎれもない自爆テロ、しかも、「洗脳」によって育てられた「愛国心」に基づく、極めて愚かなものだと思っています。
by jurassic_oyaji | 2014-10-12 21:47 | 禁断 | Comments(1)
Commented by ore at 2014-10-13 20:00 x
「台風の方が動く」は比喩では無く、実際に動いていますよ。貿易風と偏西風に乗って。